1996 Fiscal Year Annual Research Report
3次元PETと受容体ノックアウトマウスを用いた高次脳機能の研究
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08279206
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
目黒 謙一 東北大学, 医学部, 助手 (90239559)
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Keywords | 高次脳機能 / PET / ノックアウトマウス / ヒスタミン / ヒスタミンH-1受容体 / アルツハイマー病 / 抗ヒスタミン薬 / 脳血流量 |
Research Abstract |
中枢ヒスタミン神経系は視床下部後部に神経細胞を有し、吻側・尾側にバリコシチィーを有する神経線維を多く出している。本研究助成を受けて、中枢ヒスタミン神経系を例にその役割を分子レベルからPETを用いたヒト個体レベルまで広範に以下のような研究を行った。(1)3次元PETを用いた研究:3次元PETを用いて頻回の認知課題遂行時の脳血流量の変化を測定した。(2)痴呆症脳研究:ヒスタミンH1受容体はアルツハイマー病中等度進行例においては年齢・性の一致した対照より有意に大脳皮質全体において減少したのに、局所脳糖代謝率は連合野において現象するが一次感覚野や一次運動野においてはかなり保たれていた。(3)PETによる受容体占拠率の測定:抗ヒスタミン薬腹用後のヒスタミンH1受容体占拠率の測定をPETを用いておこなった。第二世代の抗ヒスタミン薬はH1受容体の30%以下を占拠したのに対し、第一世代の抗ヒスタミン薬は70%以上のH1受容体を占拠した。H1受容体占拠率と眠気の副作用の頻度はよく相関した。(4)ノックアウトマウスを用いた研究:ヒスタミンH1受容体ノックアウトマウスの行動薬理実験(自発運動量・受動回避試験・T迷路試験)を行った。オープンフィールドにマウスを置き30分間の自発運動量を測定したところノックアウトマウスはじめは動いたが時間がたつにつれて段々動きが少なくなった。ノックアウトマウスは立ち上がりの回数も少なかった。ヒスタミンH1受容体ノックアウトマウスを用いた行動薬理的実験から、ヒスタミンH1受容体ノックアウトマウス(-/-)が幾つかのストレスに対してコントロール群(+/+)と異なる反応を呈することを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 谷内一彦: "ポジトロン標識リガンドを用いたヒト神経伝達の画像化:その基礎開発と応用" 日本薬理学会雑誌. (印刷中). (1997)
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[Publications] 谷内一彦: "ヒト脳内ヒスタミンH_1受容体のPETによる解析" 医学のあゆみ. 107-111 (1997)
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[Publications] 渡邉建彦・福井裕行く・谷内一彦: "ヒスタミン受容体" 「蛋白質、核酸、酵素」増刊号「脳における情報伝達」. 42巻(No.3). 327-334 (1997)
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[Publications] I. Inoue, K. Yanai et al.: "Impained locomotor activity and exploratcry behavior in mice backing his tamine H_1 receptors" Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93. 13316-13320 (1996)
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[Publications] J. H. Ryu, K. Yanai et al: "The eflect of dopamine Dl reeeptor stiwulation on the up-regulation of his tamine H3 receptors following detuction of the ascending dopaminagic neurur" Brit. J. Pharmacol. 118. 585-592 (1996)
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[Publications] Xiao-Lan Zhao, K. Yanai et al: "Effects of unileteral vago tong on nitic oxide synthase and his tamine H3 receptors in the rat dorsde vagel conplex" J. Chem. Newoanat. 11 : 221-229. 11. 221-229 (1996)