1996 Fiscal Year Annual Research Report
前頭連合野-運動野神経回路における行動系列学習機構のモデル解析
Project/Area Number |
08279212
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 清彦 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (10172397)
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Keywords | 側頭葉 / 神経回路 / 学習 / 並列演算 / 発火潜時 |
Research Abstract |
脳神経系は学習・訓練によって感覚刺激に対して数百ミリ秒で適切な行動を生成できるようになる.この高速情報処理を可能にする神経機構として我々は細胞の発火潜時の差による競争機構の仮説を提唱してきた.本年度は仮説から導かれる予測を考察し実験データとの対応を検討した. 実験データ(Oram and Perrett 1992):無麻酔サルに異なる顔の写真を見せて計測した上側頭溝の細胞応答. モデル:実験でのサルの課題は視覚形状認識である.視覚神経路の側頭葉腹側路V1-V2/V3-V4-PIT-CIT-AIT-STPaのモデルを構成した. シミュレーション:サルは実験開始以前に顔の視覚刺激を学習していたと仮定し、まずモデルに学習をさせる,すなわちV1野の細胞集団配列を異なる6パタンで興奮させながら領野間結合を強化する.STPa野の細胞が有為な応答を示すようになった時点で実験と同様の細胞応答記録を行った. 結果:〔予測1〕本仮説は,刺激に興奮する感覚野の細胞群からその刺激で求められる行動を生起する運動野の細胞群への神経路が学習で強化され,神経興奮は強化された経路を最初に伝播すると考える.仮説が正しいならば各領野では強化経路を伝わる最大応答が最初に現われなければならない.この予測はシミュレーションとサル実験データの両方で裏付けられた.〔予測2〕脳内には感覚刺激による神経興奮以外に多様なノイズが存在する.神経情報処理機構はこのノイズに対する頑健性をもつことが必要である.本仮説では神経系が細胞集団の発火割合を変数として信号を伝えるとする.この頑健性をモデルで確かめた.すなわち,シミュレーションではすべての細胞の活動の同時記録ができる.すべての細胞が9ヘルツの自発発火をする系で異なる感覚野刺激による細胞集団間の発火潜時の差は試行毎に不変であった.
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Research Products
(1 results)