1996 Fiscal Year Annual Research Report
サルの視覚認識地図と側頭葉前腹側部及びTE野神経細胞の応答
Project/Area Number |
08279222
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 克樹 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (70243110)
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Keywords | 形態視 / サル / 側頭連合野 / 神経細胞 / 認識 |
Research Abstract |
複雑な視覚対象の脳内再現法として、「認識細胞仮説」と「群仮説」の何れに近い方法が用いられているのかという問題は未だ明らかにされていない。これまでに、サルの側頭連合野では「群仮説」に近い考えが支持されている。しかし従来の研究では、個々の刺激の類似を「実験者」が決めてきた。被験者の「サル」が固体として複雑な刺激をどの様に認識しているのかを調べ、神経細胞の応答との相関を調べた研究はない。本研究の目的は、個々のサルの行動に基づいた「認識地図」を作成し、側頭葉前腹部とTE野の神経細胞の応答が個体の認識とどの様に相関するのかを調べ、複雑な視覚対象の脳内再現法を明らかにすることである。 課題では、サルに最初に提示した見本刺激と同じ刺激を遅延期の後提示した2つの刺激から選ばせる(遅延見本合わせ)。この課題をサルが学習した後、10試行に1回の割合で2つとも見本刺激と異なる刺激の提示される試行を行わせる。これらの試行ではサルがより「似た」刺激を選ぶことが予想される。このように刺激間の類似度を測定し、多次元尺度法を用いて個々のサルの「認識地図」を作成する。「認識地図」を作成できたサルの側頭葉前腹側部及びTE野から神経細胞の活動を記録・解析する。 本年度は先ず、実験に必要な装置および課題のプログラムを開発した。複雑な視覚対象の脳内再現法を詳しく調べるためには、2つの領野から同時に神経細胞の活動を記録・解析し、その類似・相違・相関を見ることが望ましい。このため、2ケ所からの同時記録が可能なシステムを開発した。現在、正確な相関関係を調べられるようにシステムを改良中である。現在までに2頭のサルが訓練されている。認識地図作成のためには多くの試行を行わせることが必要である。現在研究を継続中である。
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