1996 Fiscal Year Annual Research Report
意味記憶の神経機構への接近;潜在記憶と顕在記憶の観点から
Project/Area Number |
08279231
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 隆 大阪大学, 医学部, 助手 (60273629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 敬貴 愛媛大学, 医学部, 教授 (90171818)
西村 恒彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70237733)
橋川 一雄 大阪大学, 医学部, 助手 (70281128)
中川 賀嗣 大阪大学, 健康体育部, 助手 (40273718)
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Keywords | 意味記憶 / プライミング / PET / 顕在記憶 / 潜在記憶 |
Research Abstract |
今回の重点領域研究における我々の目的は、顕在記憶と潜在記憶の相互関連の神経基盤をPET賦活試験で探ろうとするものである。平成8年度の活動は、その研究に適した賦活試験のパラダイムの工夫と、それを実現しうるPETでの情報収集・処理手段を確立することに向けられた。 (1)賦活試験のパラダイムの考案: 本年度は言語的記憶に集中し、意味記憶とプライミングの関連を検討しうる幾つかのパラダイムを考案した。正常者を対象として予備的検討を行った結果、以下のパラダイムの妥当性を確認し、かつPET賦活試験に適するものと結論した。 「暑い-寒い」など反対語の概念的手がかりから想起した語と、視覚的に提示した語をプライムした後、語幹完成課題を実施しプライム量を比較した。前者は視覚的な知覚処理を介さず、プライミングは語彙的、概念的記憶システムに依存し、後者は視覚的な知覚処理を介する記憶システムが関与すると考えられた。 (2)PETでの3次元情報収集と画像処理手段の確立: 3次元収集再構成専用高速演算装置を開発することによって再構成時間の大幅な短縮を可能とした。また3次元収集では体幹からの散乱線の影響が指摘されているが、我々が考案した遮蔽装置の装着により体幹放射能の脳放射能計測値に及ぼす影響は十分小さくしうることを確認した。さらにGE社製MRI advantageから汎用フォーマットに変換するスプ-ラを介してPETデータ処理を行うワークステーションに接続するネットワークを構築し、PETとMRIデータを共通のフォーマット(Dr.View format:旭化成情報システム株式会社)に変換し同一ワークステーション上で重ね合わせることを可能とした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kazui H: "Retrograde amnesia during transient global amnesia" Neurocase. 2. 127-133 (1996)
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[Publications] 江口洋子: "視覚性遠隔記憶検査の作製とその妥当性の検討" 神経心理学. 12. 58-66 (1996)
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[Publications] 山田典史: "記憶障害と海馬病変" 神経内科. 45. 391-399 (1996)
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[Publications] 数井裕光: "一過性全健忘症にみる記憶障害" 神経心理学. 12. 169-177 (1996)
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[Publications] 安野史彦: "右視床に主病変を有し,言語性記憶に優位な障害を呈した脳梗塞の1例" 脳神経. 48. 575-579 (1996)
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[Publications] 橋川一雄: "脳実質量と動脈硬化-PETとSPECT-" 総合臨床. 46. 66-71 (1997)
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[Publications] Kazui H: "The Hippocampus;Functions and Clinical Relevance" Kato N, 4 (1996)
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[Publications] Tanabe H: "Brain Processes and Memory" Ishikawa K,McGaugh JL & Sakata H, 12 (1996)