1996 Fiscal Year Annual Research Report
酵母ミトコンドリアDNAの相同的組換えの機能と制御に関する研究
Project/Area Number |
08280226
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
凌 楓 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 研究員 (70281665)
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Keywords | 出芽酵母 / ミトコンドリア / 遺伝子変換型組換え / mhr1変異 / ミトコンドリアDNA / ミトコンドリアDNAの安定維持 / MHR1遺伝子 |
Research Abstract |
(1)出芽酵母のmhr1変異を引き起こす遺伝子について分子レペルでの解析を進めるために、mhr1変異体にシングルコピーベクターで構築したゲノムライブラリーを導入し、mhr1変異体が示すミトコンドリアDNAの遺伝子変換型組換え欠損、紫外線照射によるミトコンドリアDNA修復欠損、及び非許容温度下でのミトコンドリアDNAの不安定化を相補するMHR1遺伝子を単離した。データベース検索の結果から、この遺伝子は未知な蛋白質コードしていた。またこn遺伝子とmhr1-1変異体由来の対応する遺伝子と比較したところ、一カ所の点突然変異が見い出されたので、この遺伝子がMHR1遺伝子そのものであることが確認された。(2)MHR1遺伝子産物の機能に関する知見を得るために遺伝子破壊実験を行った。MHR1遺伝子が破壊された酵母細胞はグルコース培地において生育できるが、ミトコンドリアの機能が必要なグリセロール培地では生育できなくなった。遺伝子破壊細胞のミトコンドリアから抽出したDNAの制限酵素による切断様式からミトコンドリアDNA上に大きな欠失変異をもっていた。以上の結果からMHR1遺伝子産物がミトコンドリアDNAの安定維持を通してミトコンドリアの呼吸機能の維持に不可欠であることが示唆された。(3)MHR1遺伝子の酵母細胞内局在性を調べるためにMHR1遺伝子を大腸菌での大量発現ベクターに挿入して、大量発現を行った。そして精製したMHR1蛋白質を用いて抗体を作成した。ウエスタンブロット法を用いてMHR1遺伝子産物は酵母細胞から単離、精製したミトコンドリア画分より検出された。また、さらにミトコンドリアを細かく分画したところ、MHR1遺伝子蛋白質は主にミトコンドリアのマトリックス、及び内膜に局在することが判明した。従ってMHR1遺伝子産物はミトコンドリアDNAの組換え遺伝子の転写制御因子ではなく、ミトコンドリアDNAの遺伝的組換え過程への直接関与因子である可能性が大きい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Feng Ling,Fusao Makishima,Nobuhiro Morishima and Takehiko Shibata: "A nuclear mutation defective in mitochondrial recombination in yeast" The EMBO Jounal. 14(16). 4090-4101 (1995)
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[Publications] 柴田武彦、凌楓: "DNA recombination goveming the stability of mitochondrial DNA and cellular energy supply" 化学と生物. 34(10). 651-643 (1996)