1996 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯熱マラリア原虫の23kD蛋白分子の純化とその防御抗原性に関する分子機構の研究
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08281203
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
狩野 繁之 群馬大学, 医学部, 助教授 (60233912)
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Keywords | マラリア / ワクチン / 免疫 |
Research Abstract |
われわれは実際の流行地の野外調査をもとに免疫学的な解析を進め、その中において23kDタンパク分子をワクチン候補分子と想定し、その機能と構造とを決定すべく研究を行い、当該申請研究においては以下の結果を得た。 1.患者血清と種々の抗原分子との反応性 フィリピンパラワン島の住民で(1)マラリア原虫の23kD分子と特異的に反応する群では、患者は原虫血症を示しながらも激しい症状を示さず、かつ慢性的な脾腫を提示した。(2)近い過去においてマラリアの症状を示した脾腫を認めない患者群の血清は、23kD分子とは反応しなかった。(3)日本人輸入マラリア患者で急性期にある有症患者からの血清は、やはり23kD分子と反応しなかった。 2.23kD抗原ポリペプチドに対するモノクローナル抗体の作製 培養原虫抗原からSDS-PAGEを行って分子量23kD蛋白を切り出し、アジュヴァントとともにBALB/c4週齢雌に接種し、ELISA法によってマウスの抗体の上昇を確認した。そのマウスから脾臓を取り出し、ミエローマ細胞と脾細胞とのfusionを行い、融合細胞培養上清中に産生された抗体をIFATによりスクリーニングを行い、熱帯熱マラリア原虫と反応するクローンの拾い出しを行った。 3.23kD抗原ポリペプチドのアミノ酸シークエンシング SDS-PAGE、プロッテイング後、23kD分子が転写された部分の膜を切り出し、蛋白を抽出し、proteinaseで処理した後、逆層クロマトグラフィーでその断片化された蛋白を回収した。その蛋白を経時的にMicroblotterでPVDF膜上にプロットし、蛋白ピークに合わせた部分のメンブランを切り出し、再度ペプチドシークエンサーでその配列の一部を決めた。今後も抗原分子の機能に関し更なる意味付けを行わなければならないと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mohd-Nor Norazmi: "Reactivity of sera from patients with acute Plasmodium falciparum and P.vivax infections with an antigen preparation from a P.falciparum isolate" Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene. 24(4). 237-239 (1996)
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[Publications] Pilarita Tongol-Rivera: "A 23kD Molecule of Plasmodium falciparum binds specific IgG from splenomegalic,parasitemic,but asymptomatic children" Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene. 25(1)in print. (1997)
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[Publications] 狩野繁之: "マラリアワクチン" 臨床と微生物. 24(2)in print. (1997)