1996 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティングマウスを用いたB細胞レパートリー形成機構の研究
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08282206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧 伸介 東京大学, 医学部, 講師 (50262027)
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Keywords | 免疫グロブリン / トランスジェニックマウス / 遺伝子組み換え / ジーンターゲティング / 可変部遺伝子 / 多様性 / IRF-1 / 転写因子 |
Research Abstract |
報告者は本年度、IgV遺伝子(VHT15)をJH遺伝子座に挿入した変異(T15i)をヘテロに持つマウス(T15i/+マウス)においては、ある割合でVHT15遺伝子が破壊され、野生型IgH発現B細胞が生じることを利用し、B細胞一次レパートリー形成は遺伝的に支配されていること、VHT15陽性細胞が低値を示す形質が優性であり、おそらく単一の遺伝子の支配が主である事、対立遺伝子である野生型IgH遺伝子のアロタイプ、軽鎖遺伝子(k鎖)はこの遺伝子ではない事を明らかにした。また、リンパ球のアポトーシスに重要である転写因子IRF-1を欠損し、T15i変異をヘテロに持つマウスを制作したが、このマウスでは末梢のVHT15陽性B細胞比率は野生型マウスと同様であり、少なくとも一次レパートリーの形成にはIRF-1は無関係であることは明らかに出来た。更に、体細胞突然変異による新たな特異性の生成を研究するために、monospecificマウスを、すなわち、T15iマウスと、新たに樹立したk鎖トランスジェニックマウスを掛け合わせ、唯一の特異性を持つマウスを作製しようとしている。現在、k鎖トランスジーンのgermlineへの導入を確認し、またその発現を確認済みである。先に述べたようにT15i/+マウスでは、VHT15陽性B細胞の末梢B細胞中での比率は約半数以下であるが、このk鎖トランスジーンを持つマウスにおいてはほとんどすべてのB細胞がVHT15陽性となり、VHT15鎖とこのk鎖のペアがポジティブに選択され、このk鎖と野生型IgH発現B細胞を凌駕してしまった可能性が考えられる。
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Research Products
(1 results)