1996 Fiscal Year Annual Research Report
Fcレセプター欠損マウスを用いたアレルギーの分子機構の解明とその修復法の開発
Project/Area Number |
08282225
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 俊行 岡山大学, 工学部, 助教授 (20187917)
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Keywords | Fcレセプター / 遺伝子欠損マウス / 免疫制御 / 遺伝子ターゲティング / 抑制性シグナル / アレルギー |
Research Abstract |
イムノグロブリン・スーパーファミリーに属する分子などの細胞内領域にimmunoreceptor tyrosine-based activation motif (ITAM)と呼ばれるアミノ酸配列が存在する場合,このモチーフはチロシンキナーゼの基質となることでその後の細胞活性化シグナリングに重要な役割を演じる.最近,ITAMのコア配列であるYXXL/Iに類する配列を有し,かつ細胞内シグナリングに抑制的にはたらくモチーフであるITIMおよびその抑制メカニズムが注目されている.ITIMを持つ分子としてこれまでNKレセプター,CD22,Fcレセプター(FcR),CTLA-4などが知られているが,これまでの知見ではITIMは,ITAMと同様にチロシンキナーゼによりリン酸化されたのち細胞内の脱リン酸化酵素SHP-1やSHIPとアソシエ-トすることで抑制機能を発揮するらしい.これまで本研究者はITAMを持つFcRγ鎖のノックアウトおよびITIMを持つFcγRIIBのノックアウトマウスを作成し,これらの免疫機能を解析した.FcRはこれまで,液性免疫と細胞性免疫の調節因子としての役割や,炎症・アレルギーとの関係を中心にその機能の解析が進められてきたが,FcRγ鎖ノックアウトマウスではマクロファージの貧食機能が消失するなど,種々のエフェクター機能が消失し,炎症の開始機構においてFcεRIやFcγRIIIが中心的役割を担っていることが示された.逆にFcγRIIBノックアウトマウスにおいては抗体応答や貧食機能に亢進が見られ,更にIgGを介するアナフィラキシ-や接触過敏症反応,コラーゲン関節炎などが野生型マウスに比べ強く現れることを観察した.即ち,免疫システムの抑制機構としてFcγRIIBを介する経路が存在することが示された.よって生体は,IgG免疫複合体とFcγRによる,免疫系を活性化あるいは抑制する巧妙な調節システムを備えていると理解できる.
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Research Products
(20 results)
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[Publications] Takai,T.: "Augmented humoral and anaphylactic responses in FcγRII-deficient mice." Nature. 379. 346-349 (1996)
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[Publications] Hikida,M.: "Reqiurements of a costimulus for IL-4-induced IgE class switching in murine B cells activated via antigen receptors : Effectiveness of 8-mercaptoguanosine." J.Immunol.156. 2730-2736 (1996)
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[Publications] Hikida,M.: "Reexpression of RAG-1 and RAG-2 Genes in Activated Mature Murine B cells." Science. 274. 2092-2094 (1996)
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[Publications] Hayami,K.: "Molecular cloning of a novel murine cell-surface glycoprotein homologous to killer cell inhibitory receptors." J.Biol.Chem.(in press).
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[Publications] Hikida,M.: "Characterization of B cells expressing recombination activating genes in germinal centers of immunized mouse lymph nodes." J.Immunol.(in press).
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[Publications] Takai,T.: "Multiple loss of effector cell functions in FcRγ-deficient mice." Intern.Rev.Immunol.13. 369-381 (1996)
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[Publications] 高井俊行: "IgGのFcレセプターとアレルギー" 臨床免疫. 28. 1062-1068 (1996)
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[Publications] 高井俊行: "FcγRとアレルギー(とくにFcγRII)" アレルギー科. 2. 136-143 (1996)
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[Publications] 高井俊行: "Feレセプター・ノックアウトマウス" 免疫・Immunology Frontier. 6. 153-158 (1996)
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[Publications] 高井俊行: "FcγRIIノックアウトマウスにおけるマスト細胞の異常活性化" 臨床免疫. (印刷中).
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[Publications] 高井俊行: "Feレセプターと抗体産生制御" 臨床免疫. (印刷中).
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[Publications] 高井俊行: "ノックアウトマウスによる免疫研究" 実験医学. 15. 50-54 (1997)
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[Publications] 高井俊行: "Fcレセプター欠損マウス" Molecular Medicine. 34. 44-54 (1997)
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[Publications] 高井俊行: "FcRγノックアウトマウスによるアレルギー発症機構の解析" アレルギーの臨床. (印刷中).
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[Publications] 高井俊行: "FcレセプターによるB細胞の抑制" 臨床免疫. (印刷中).
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[Publications] 高井俊行: "DFcレセプターによる免疫制御機構" 生化学. (印刷中).
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[Publications] 高井俊行(分担執筆): "免疫'96-97" 中山書店, 9 (1996)
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[Publications] 高井俊行(分担執筆): "分子アレルギー学" メディカルレビュー社(印刷中),
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[Publications] 高井俊行(分担執筆): "標準免疫学" 医学書院(印刷中),
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[Publications] Toshiyuki Takai (分担執筆): "Immunoglobulin Receptors and their Physiological and Pathological Roles in Immunity" Kluwer academic publishers (印刷中),