1997 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙・地球科学の研究における同位体比測定精度の向上を目的とする試薬標準物質の研究
Project/Area Number |
08304035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 剛 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00236605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 洋 熊本大学, 理学部, 教授 (60090544)
柳 哮 九州大学, 理学部, 教授 (90037234)
加々美 寛雄 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20108179)
米田 成一 国立科学博物館, 研究官 (60210788)
藤巻 宏和 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133933)
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Keywords | 宇宙科学 / 地球科学 / 同位体 / 試薬 / 標準物質 / 質量分析 / 精度 / ネオジム |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、ネオジム試薬標準物質JNdi-1とLaJolla-Ndの^<143>Nd/^<144>Nd同位体比の精密比較測定を継続した。本年度は11研究機関の12質量分析計をもちいて測定を行った。測定に用いられている規格値として、^<143>Nd/^<144>Nd=0.7219を用いる以外はそれぞれの研究室で日常の測定を行っているのと同じ条件でJNdi-1とLaJolla-Ndを交互に測定した。JNdi-1はposition1から441までのうち18positionsで、一つのposition内での繰り返し測定数は2回から12回である。交互に測定したJNdi-1とLaJolla-Ndの値をそれぞれAおよびB、その比をF(Factor)とし、F_n=A_n/(B_n+B_<n+1>)によりFを求めた。5つの研究室で同一の装置と手法により測定された複数のpositionsのF値に、いずれの研究室内での値にも平均値の標準誤差(2σ_m)を越える差は見いだされなかった。したがって、この標準試薬中の同位体組成は瓶全体にわたり均質であると考えられる。よって、全18positionsにわたるFの平均値を求めることができ、その値は1.000503±1(1σ_m)が得られた。LaJolla-Nd値0.511857に対応するJNdi-1の値は0.512114±7となることがわかった。 加えて本年度は、JNdi-1の消滅核種^<146>Smがα壊変により生ずる^<143>Ndの変動を研究する標準物質としての役割を考え、^<143>Nd/^<144>Ndの比較測定を行った。得られた104データーを検討した結果、F値は1.000006±3(1σ_m)となり、JNdi-1とLaJolla-Ndの間に有為の差はないことがわかった。 この試薬により、測定値の確度をたかめた論文を公表した。本試薬に関する論文は執筆中である。
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[Publications] Dragusanu,C., Tanaka,T. and Iwamori,H.: "Metamorphosed Precambrian mafic rocks from the South Carpathians : island arc remants? A geochemical characterization of amphibolites from the Fagaras Mountains Romania" Schweiz.Minered.Petrogr.Mitt.77・3. 419-437 (1997)