Research Abstract |
本研究は,児童・生徒の生活や学習行動の実際,及び子供の空間意識や認知の視点から,学校の現実を的確に捉え直し,新しい教育観に沿った学校空間全体の再編成の在り方を考察しようとする.建築計画学,教育学,環境心理学,教育心理学の専門家が具体的な調査活動から,学校空間編成の立案までを連携しながらとり組み,21世紀へ向けての学校空間の在るべき姿を提案しようとするものである.昨年度の調査・分析結果を踏まえつつ,各研究者が分担して次のような研究成果をとりまとめた. 1) オープンスペース,多目的スペースの設けられ方の現状を類型化し,教育学的な見地からみたその特質について論じ,その将来展望を明らかにした.(担当:加藤幸次) 2) タイプの異なるオープンスペースを持つ3校において,同学年,同単元,同教材によって実際に学習活動を展開し,学習空間の在り方が児童の学習活動,思考過程,学習成果に及ぼす影響を検討した.これらから,小学校の学習空間の編成の在り方について具体的な提案を行った.(担当:奈須正裕) 3) 公立小学校4校において,児童の空間認知の実態を把握するための環境心理学実験,及び児童の行動を捉える観察調査を行った.これらから,児童・生徒の心理や空間認知の観点から,学校空間の在るべき姿について提言を行った.(担当:山下哲郎) 4) 公立小学校典型事例7校において,クラス単位,個人単位に1日の学習・生活活動の実態を克明・詳細に捉える調査を行った.又,特にクラススペース,オープンスペース廻りの学習・生活活動について,その実態を詳しく捉える調査を行った.(担当:上野淳) 以上を総合し,学校空間の新しい編成計画の在り方について,具体的なダイアグラムを伴った諸提案をとりまとめた.
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