1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08306004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 昌男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70107407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 淳 三重大学, 工学部, 助手 (70242930)
川崎 秀樹 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (00134263)
国見 裕久 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50195476)
中垣 雅雄 信州大学, 繊維学部, 助教授 (70135169)
小林 迪弘 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60111837)
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Keywords | 昆虫 / 昆虫ウイルス / ウイルス感染 |
Research Abstract |
1.昆虫ウイルスの観察を目的とした原子間力顕微鏡の利用について検討した。とくに、迅速な観察が可能である利点に応じた試料作製法を、核多角体病ウイルス(NPV)を材料として開発した。多角体中のNPV観察は30分程度で可能であり、昆虫病原体観察への応用の有効性が示された。2.器官培養系において作用する細胞分裂促進因子が蚕の体液中に存在することが明らかになり、培養検定系の検討と因子の同定を行った。その結果、翅原基をグレース液で培養し、20ハイドロキシエクダイソンと検定成分を含む培養液に移す検定系を確立した。因子については陰イオン交換カラムと逆相カラムで分画が可能であった。3.アメリカシロヒトリNPVの細胞増殖系を検討し、SpIm-1299細胞株を用いた大量培養法の基礎を作成した。旋回培養法によつて150mlレベルでのウイルス増殖が可能となった。4.AcNPVの増殖過程におけるタンパク質リン酸化の役割を知る目的で、Cキナーゼ阻害剤の影響を調べ、Cキナーゼ阻害剤がウイルス感染にともなう宿主細胞の増殖停止を抑制することが明らかになった。さらに、ウイルス感染による宿主細胞周期の変動を調査した。5.濃核病ウイルスの宿主昆虫体内における転写産物の検出と同定を行った結果、ORFに応じたmRNAが転写されるていることが判明し、cDNAを得ることができた。また、ウイルスの増殖組織をin situハイブリダイゼーションによって解析した。6.宿主における病原ウイルスと寄生昆虫の相互関係を把握する目的で、2種の昆虫において、昆虫ボックスウイルスと寄生蜂の感染における拮抗作用について調査した。その結果、ウイルス感染によって寄生蜂の発育の遅延、羽化率の低下などの病原微生物による影響があることと、その影響は寄生体の感染時期によって異なることが判明した。
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[Publications] 永田昌男・孫平江: "家蚕5齢幼虫後期における核多角体病ウイルスの増殖" 日本蚕系学雑誌. 67巻1号(印刷中). (1998)
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[Publications] Quan G-X.et al.: "Isolation and particular expression of a new bitubulin in wring discs during metamorphosis of Bombyx mori" 日本蚕系学雑誌. 67巻1号(印刷中). (1998)