1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08306005
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Section | 総合 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大東 肇 京都大学, 農学部, 教授 (80026583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 満 信州大学, 農学部, 助教授 (90199133)
林 英雄 大阪府立大学, 農学部, 教授 (30128772)
川中 正憲 国立予防衛生研究所, 寄生動物部, 室長 (50109964)
西田 利貞 京都大学, 理学研究科, 教授 (40011647)
小清水 弘一 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (90026518)
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Keywords | チンパンジー / 薬用植物 / 抗寄生虫活性 / Vernonia amygdalina / Trema orientalis / Aspilia Mossambicensis / Senna Spectabilis / Combretum molle |
Research Abstract |
近年、野生霊長類による薬用植物利用仮説が提出されている。一方最近、栄養や嗜好の側面以外に、生体機能調節に食の重要性(3次機能)が認識されつつある。野生霊長類の薬用的利用植物の生態学的・化学的・生理学的解析は新たな生理活性天然物の開発や、動物行動生態の化学的解明、さらには食の持つ3次機能の再評価に資するものと考えられる。本研究では、1.野生チンパンジー薬用的利用直物の選択、2.各種植物の持つ生理活性の評価、3.それらの生理活性成分の化学的究明、を行った。 1.既取得15種に加え、本年新たにチンパンジーの菜食行動生態の解析より、LUHOSHO,KASOLBOおよびKAFUNAMPASA (いずれも現地名)の3種を候補植物として選択した(西田)。 2.各種植物につき、抗寄生虫・抗菌・抗昆虫まどの抗生物活性、さらには細胞毒性、免疫系や種々の酵素活性の修飾効果などを広く検討した。新たな知見として、LUHOSHOおよびKASOLBOに顕著な抗寄生虫活性を確認した(川中、大東、小清水)。また、Aspilia mossam- bicensisの菜食部位(葉)に広く抗寄生虫活性が存在することを初めて明確にし、薬用的利用において物理的効果説と共に化学的効果も無視できないことを指摘できた(川中、大東、小清水)。 3.Venonia amygdalinaより新規の抗寄生虫性ステロイド3種を単離・構造決定し、これらの活性より、寄生虫制御を目的としたチンパンジーの薬として、既報の関連配糖体以上に遊離ステロイドの重要性が改めて確認できた。Aspilia mossambicensisの抗寄生虫成分は既知の含硫成分、triarubrine Aとは異なる物質と確認でき、現在さらに精製中である(小清水)。また、Combretum molleの細胞毒性成分(小清水)、Trema orientalisの昆虫摂食阻害成分(林)を、さらには薬用種としての確たる証拠はないがSenna spectabilisの免疫系を修飾する成分2種を単離した(広田、伏木)。いずれも現在構造決定中である。さらに、T.orientalisには昆虫摂食阻害成分以外に抗住血吸虫成分が存在することが確認でき、現在その成分の精製を続行中である(大東、川中)。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 大東 肇: "野生チンパンジーの薬用的植物利用に関する化学生態学的研究:Vernonia amygdalinaを例に" アフリカ研究. 48. 51-62 (1996)
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[Publications] Toshisada NISHIDA: "Food Transfer between Mother and Infant Chimpanzees of the Mahale Mountains National Park,Tanzania" International Journal of Primatology. 17・6. 947-968 (1996)
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[Publications] Hiromu SUGIYAMA: "A Novel cDNA Clone of Schistosoma japonicum Encoding the 34,000 Dalton Eggshell Precursor Protein" International Journal for Parasitology. (in press). (1997)
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[Publications] Hajime OHIGASHI: "In the Search for Potential Medicines from the Tropics : Interfacing Chimpanzee Behavior and Africa Ethnomedicine" Proceedings of the 5th International Symposium on Tranditional Medicine in Toyama(1996). 5. 165-174 (1996)
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[Publications] 高橋友則: "野生チンパンジーの薬用植物、Vernonia amygdalinaに存在するステロイド物質の検索とそれらの抗寄生虫活性" 日本農芸化学会誌. 70(臨時増刊). 52-52 (1996)
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[Publications] Michael HUFFMAN: "Compositae : Biology & Utilization.Proceedings of the International Compositae Conference,Kew,1994" Royal Botanic Gardens,Kew, 19 (1996)
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[Publications] Toshisada NISHIDA: "Great Ape Societies" Cambridge Univ.Press, 21 (1996)
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[Publications] Mitsuru HITOTA: "Progress in Drug Development from Medicinal Plants,Proceedings UNESCO Regional Symposium on Drug Development from Medicinal Plants" UNESCO, 2 (1996)