1997 Fiscal Year Annual Research Report
スギ合板製造実現のための技術の集約と新しい生産システム開発に関する総合的研究
Project/Area Number |
08306010
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大熊 幹章 九州大学, 農学部, 教授 (80011906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 泰男 秋田県立農業短期大学, 木材高度加工研究所, 助手 (70279511)
槌本 敬大 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00261959)
信田 聡 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00201541)
松村 順司 九州大学, 農学部, 助手 (70243946)
小田 一幸 九州大学, 農学部, 助教授 (10045130)
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Keywords | 合板 / 単板 / スギ / 地域産業 / LVL |
Research Abstract |
スギ合板製造を産業的規模で実現するための技術とシステムを集約し、新しい生産システムの開発を考察した。数回の研究打ち合せを行うなかで最も重要なこととして「従来のラワン合板製造ラインにスギ造林木を如何にあてはめるか」という従来の技術開発の方向を捨て去り、全く新しい発想のもとでスギ合板、あるいはラワン合板と同等以上の性能をもつスギ材を用いたパネル製品製造を考案することを基本におくことにした。このときスギLVLも開発製品の範疇に入れることとした。すなわち、スギ造林木の一般材・低質部分からの合板(パネル)製造技術を確立し、これに世界に通用する製品としてのコストパフォーマンスを付与することである。次のシステを結論として提案することとした。 (1)スギを中心とする国産造林木を原木として用い、国内、特に国内林業生産地において加工の一部を行う。 (2)単板工易と合板工場の分離 単板切削と単板乾燥を行う単板工場と、これを用いて合板等の製品を作る合板工場は分離している。すなわち、単板を加工する複数の山元小規模工場と都市周辺部に存在する大規模合板工場が有機的に結びつき、生産活動を行う。 (3)低価格・低質原木の使用と安定的確保、製材に向かない曲り材、等を短尺に切断した丸太(小径木を含めて)を主要原木とする。原木生産地に存在する単板工場はこのような原木の集荷にきめ細く対処出来、好都合である。 (4)低価格でシンプルな機構をもつベニアレースとドライヤーの開発 これらの装置は必要不可欠な性能は保持するが全ての無駄をそぎ落とした格安の装置とする。もちろん堅牢で精密な機械である。 (5)移動可能な単板加工装置とレンタルシステム (6)合板工場での多様な製品造り いくつかの新しい施策が必要であろうが、国、県、企業そして個人が国産材時代の実現を目指して、新たな発想をもって協力しあうことが最も重要であろう。
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[Publications] 大熊 幹章: "合板製造の原点に立ち戻りあらためて国産材合板の製造を考える" 木材工業. 51・8. 343-347 (1996)
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[Publications] 大熊 幹章: "スギ造林とその利用" 平成9年度日本学術会議木研連シンポジウム梗概集. 平成9年度-1. 28-35 (1997)
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[Publications] 松村 順司: "針葉樹材の透過性に関与する木材組織構造" 日本木材学会「木材と水研究会」シンポジウム要旨集. 平成9年12月. 5-8 (1997)
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[Publications] J.Matsumura et al: "Relationship between wood anatomical properties and specific permeability of sugi(Cryptomeria japaneca)sapwood and intermediate wood" The Bulletin of the Kyushu University Forests. No.77. 35-45 (1997)