Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉崎 静夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20116130)
西之園 晴夫 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (90027673)
生田 孝至 新潟大学, 教育学部, 教授 (20018823)
市原 章子 (西森 章子) 大阪大学, 人間科学部, 助手 (50294012)
菅井 勝雄 大阪大学, 人間科学部, 教授 (40000294)
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Research Abstract |
本研究の目的は,日本における授業研究について,I.授業記録の方法,II.授業記録の対象,III.授業分析・評価の視点,IV.方法論の4軸からなる分析枠組みを設定し,諸授業研究の特徴・関連構造・系譜を明らかにすることと,将来授業研究に必要とされる,新しい方法論(認知科学・人工知能)などの適用の可能性,授業研究と教師教育との関連を明らかにすることの2点であった。今年度は,昨年度に引き続き,いくつかのアプローチごとに原資料を収集・整理しつつ,系譜と関連性を明らかにするとともに,研究方法論の深化に重点を置いた.具体的にはまず,大正自由教育の旗手である木下竹二の授業論を解明するために,授業研究及び学習指導法の中に含まれた特質を洗い出し,当時の教育環境において整理することを試みた.また,斉藤喜博(島小学校),東井義雄等にみられるベテラン教師の,教師教育論,授業研究方法論についても,原資料の記述内容の構造化,精緻化を通じて,その特質を顕在化することを試みた.さらに,教育技術の法則化運動にみられる現代の若手教師による授業研究・分析の方法・手続きについて,「教授行動の選択系列のアセスメント」の手法などを用いて,その特徴として発問の意味内容をあげ,発問の遷移過程を明らかにした.これらの成果は,直接的に授業研究方法論の体系化に関するテーマ設定ではないものの,それぞれ日本教育方法学会,日本教育学会,日本教育工学会の年会で報告されている. 次年度の課題として以下の点があげられる.構築されているデータベースを基に,過去数十年の授業研究の系譜について,最終的な整理・類型化を行うとともにその際の手続きを明らかにする必要がある。また授業研究方法論のパラダイム転換が起こりつつある現状を踏まえて,これからの授業研究の方向性を提示していくことが求められている.
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