1996 Fiscal Year Annual Research Report
カンナビノイド受容体の内因性リガンドとしてのアナンダミドの生合成と代謝
Project/Area Number |
08308036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 総合 |
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山本 尚三 徳島大学, 医学部, 教授 (50025607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 積 日本たばこ生物研究所, 副所長
今井 一洋 東京大学, 薬学部, 教授 (50012620)
和久 敬蔵 帝京大学, 薬学部, 教授 (90013854)
山本 郁男 北陸大学, 薬学部, 教授 (50069746)
工藤 一郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
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Keywords | アナンダミド / カンナビノイド / アラキドニルエタノールアミン / アラキドン酸 / 受容体 / 幻覚物質 / 脳 / アミド水解酵素 |
Research Abstract |
1)測定法の開発と分布検討:今井らは蛍光誘導体化試薬DBD-COC1を用いた蛍光HPLC法、および液体クロマトグラフィー-大気圧化学イオン化質量分析法によって、アナンダミドとその類縁体の分離定量法を開発した。和久らはラットの脳に含まれるアナンダミドの量を調べた結果、数pmol/g tissueとごく僅かしか含まれていないことを示した。 2)生理作用:工藤らの知見は、ラット血小板にはCB1とCB2受容体が発現しており、アナンダミドはCa依存的Kチャネルを活性化して、低濃度コラーゲン誘発血小板凝集を阻害することを示唆した。また、和久らによって、アナンダミドだけでなく、2-アラキドノイルグリセロールも内在性カンナビノイド受容体リガンドであることが明らかとなった。 3)生合成:リン脂質の1位に含まれるアラキドン酸が一旦PEのアミノ基に転移してN-アラキドノイルPEが生成し、これがさらにホスホリパーゼDの作用によって分解してアナンダミドが生成するのが、主要経路であることが和久らによって示された。また、山本尚三らはラットの各組織のアナンダミド水解酵素でも、可逆的にアナンダミドを作る活性を示した。 4)代謝:山本尚三らはラットの各組織を調べて、脳や肝の他にも、胃や小腸にもアナンダミド水解酵素があるが、それが混在する脂質様物質によって阻害されて見かけ上低値を示すことを見出し、このことはノーザンブロットの知見によって支持された。山本郁男らは、アナンダミド水解酵素活性のマウス臓器分布を検討して、主に肝と脳のミクロソーム画分に認めた。これらの活性は、重金属(Hg,Cu,Se)およびフェニルメチルスルフォニルクロリドにより強く阻害された。また、脳ミクロソームの酵素活性は、カンナビノイドにより阻害されたが、肝の酵素は阻害されなかった。肝ミクロソームの酵素を各種クロマトグラフィーを行い、約100倍に精製した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] N.Ueda: "Enzymes for anandamide biosynthesis and metabolism" J.Lipid Mediators Cell Signalling. 14. 57-61 (1996)
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[Publications] S.Matsuda: "Metabolism of anandamide,an endogenous cannabinoid receptor ligand,in porcine ocular tissues" Experimental Eye Research. (in press).
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[Publications] M.Murakami: "Type II secretory phospholipase A_2 associated with cell surfaces via C-terminal heparinbinding lysine residues augments stimulus-initiated delayed prostaglandin generation" J.Biol.Chem.271. 30041-30051 (1996)
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[Publications] K.Watanabe: "Inhibition of anandamide amidase activity in mouse brain microsomes by cannabinoids" Biol.Pharm.Bull.19. 1109-1111 (1996)
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[Publications] T.Sugiura: "2-Arachidonoylglycerol,a putative endogenous cannabinoid receptor ligand,induces rapid,transient elevation of intracellular free Ca^<2+> in neuroblastoma x glioma hybrid NG108-15 cells" Biochem.Biophys.Res.Commun.229. 58-64 (1996)
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[Publications] T.Sugiura: "Transacylase-mediated and phosphodiesterase-mediated synthesis on N-arachidonoylethanolamine,an endogenous cannabinoid-receptor ligand,in rat brain microsomes" Eur.J.Biochem.240. 53-62 (1996)
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[Publications] 上田夏生: "蛋白質核酸酵素,40巻" 共立出版, 2329-2339 (1995)
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[Publications] 村上誠: "実験医学,14巻" 羊土社, 1999-2005 (1996)