1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08351001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 寿一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30172894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 雅圭 静岡大学, 教育学部, 助教授 (90204734)
長谷川 真理子 専修大学, 法学部, 教授 (00164830)
安藤 清志 東京女子大学, 文理学部, 教授 (50125978)
中村 真 宇都宮大学, 国際学部, 助教授 (50231478)
山岸 俊男 北海道大学, 文学部, 教授 (80158089)
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Keywords | 進化心理学 / 人間行動進化学 / 進化生物学 / 学際統合 / 人間の本性 / 遺伝と行動 / 進化と文化 / 進化と倫理 |
Research Abstract |
本研究は、人間行動の進化に関心をもつ進化生物学者と、進化理論が人間理解にどのように貢献するかに関心をもつ人文社会学者が、同じテーブルについて双方の主張に耳を傾け、広く人間研究全般と進化学的分析の関連について学際的な議論を交わす目的で企画された。全体会議「人間性の進化的理解」は、1996年11月30日と12月1日の2日間にわたって東京で開催され、研究代表者分担者14名、招待講演者3名、その他オブザーバーを含めて約35名が参加した。発表内容としては、人文社会系研究者から、歴史学研究(古代ローマの嬰児遺棄と奴隷制)、文学研究(英詩における制約条件の解析)、倫理学研究(倫理と進化的基盤)、経済学研究(経済学における進化的アプローチの可能性)、社会心理学研究(信頼、公正感の進化的背景と文化的変容)、発達心理学研究(人における育児戦略)が、また進化生物学者から、性淘汰の理論、社会生物学の社会的受容過程が、それぞれ問題提起され、指定討論者を中心に議論が交わされた。初日の討議は深夜にまで及び、また翌日は早朝から議論が再開されるなど、専門領域の壁を感じさせないきわめて活発な意見交換が続いた。この会議からだけでも、人間研究を学際統合的に理解する上で、進化的アプローチが非常に重要なものであることが再認識された。また、本研究を主体としたワークショップや講演が、日本心理学会(立教大)や動物心理学会(東大)で行われた。本研究の成果の一部は、「科学」の1997年4月号の特集「人間の心の進化」に掲載予定である。
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[Publications] 長谷川 寿一: "「発達研究の現在-人間行動研究における進化論的アプローチ」" 児童心理学の進歩. 35. 1-26 (1996)
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[Publications] 長谷川 寿一: "進化心理学の夜明け" 基礎心理学研究. 15・1. 46-48 (1996)
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[Publications] 長谷川 寿一: "心の進化-人間性のダ-ウィン的理解" 科学. 67-4(印刷中). (1997)
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[Publications] 長谷川 寿一: "「奇妙なサル」にみる互恵性 小林・船曳編『知のモラル』" 東京大学出版会, 298(175-191) (1996)
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[Publications] 長谷川 寿一: "「進化的人間理解と人間文化の同質性」『岩波講座文化人類学』" 岩波書店(印刷中), (1997)