1996 Fiscal Year Annual Research Report
法実証主義国際法理論の形成過程に関する日独国際共同研究のための準備作業
Project/Area Number |
08352001
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
辻 健児 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70037068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮野 洋一 中央大学, 法学部, 助教授
森川 幸一 専修大学, 法学部, 助教授 (70134434)
中川 淳司 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (20183080)
島田 征夫 早稲田大学, 法学部, 教授 (70063732)
柳原 正治 九州大学, 法学部, 教授 (60143731)
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Keywords | 19世紀国際法理論 / 法実証主義国際法理論 / 国際法理論史 |
Research Abstract |
1 本年度の科学研究費の助成を受けて、イギリスのオッペンハイムの主著「国際法」2巻(1905-06)及び特に国際法学の方法論に関する論文数点を分析し、次のような成果を得た。 19世紀は自然法論と法実証主義とが競合し、次第に法実証主義が強くなっていくが、当時は法実証主義の傾向が強ければそれで法実証主義者と位置づけられてきた(例えば、クリューバー、フィリモア、ヘフタ-等)。これに対してオッペンハイムは実定国際法のみが科学の1分野たりうると述べて、明確に自然法を法源から排除する。「国際法」においても自然法論的な説明を注意深く排除している。また、彼は条約と慣習法のみを厳格に法源として挙げ、学説、国内裁判所の判例等は明白にそれから除外する。この方法は主著「国際法」においてかなり厳格に透徹されており、それまでの実証主義からぬきんでており、真の意味で法実証主義者といえよう。 20世紀初頭に出版された彼の「国際法」における国際法の体系は今日まで多くの著名な国際法学者によってほぼ踏襲されており、この点で彼は20世紀国際法学の創始者としても位置づけられよう。大きな影響を与えた理由には、彼が多くの国家実行を集積し、それについての説明が客観的で公平なことが挙げられよう。 2 法実証主義国際法の発展過程の国際共同研究を進めるためにこの方面に関心の深いと思われる外国の学者に共同研究を呼びかけたところ、ドイツ・マックスプランク研究所のMlichael Stolleis教授及びアメリカ・デューク大学のBenedict Kingsbury教授から参加したいむねの返事を得た。今後の我々の研究成果を彼らに送付して意見交換を行うとともに、他の学者の参加もえて、この研究をもっと推進したい。
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