1996 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクルを指向した材料の分子設計とプロセスの基礎的研究
Project/Area Number |
08355022
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 剛 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (40016738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我 和雄 北陸先端科学技術大学院大学, 教授 (10026180)
蒲池 幹治 大阪大学, 理学部, 教授 (40028163)
梶山 千里 九州大学, 工学部, 教授 (60037976)
岡本 佳男 名古屋大学, 工学部, 教授 (60029501)
戸倉 清一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (40000806)
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Keywords | 高分子 / リサイクル / 分解 |
Research Abstract |
プラスチックなどの材料を回収再利用することは、限りある資源・エネルギーの有効利用そして地球環境保全の立場から、極めて重要な問題である。本総合研究では、リサイクル機能を有する新材料を創製するための基礎研究として、現在までに個別的・離散的に行われてきた研究結果を、広い範囲にわたって系統的に調査し、討論を通して整理して、上記目標達成のための知見の集積を行った。その結果この目的に対して合成化学的な見地からのみならず、化学工学的、物理化学的な視点からも多くの指針を提供することが可能となった。例えばポリエステル、ポリカーボナ-トなど従来から知られている分解性高分子を効率良くかつ精密に合成するための方法論としてポルフィリン触媒による精密開環重合法や、リグニンやヘミセルロースなどのいわゆる産業廃棄物を出発物質として生分解性を有する高機能性多糖の生合成といったアプローチが紹介された。また、通常分解性を示さないポリオレフィンや架橋ポリマーの分解に対してはテレケリックオレフィンのオリゴマーを用いる重縮合反応による高分子合成、ポリマー<-->モノマー間の平衡重合を利用するネットワークポリマーの分解などの新しい方法論や、光反応を効率的に利用するポリケトン、ポリ置換アセチレン類の分解に関しても多くの基礎的データを収集することができた。また、高分子の分解反応に対する理論化学からのアプローチも検討され、分解性高分子の分子設計における重要な指針が与えられたのみならず、実用化に不可欠な分解反応の化学的プロセスのための環境適応型運転監視システムに関しても貴重な提案がなされた。 このように、多くの研究者が広範囲にわたって体系的、系統的に上記目的を達成するための貴重な情報を収集でき、本研究が単なる学問としての飛躍的な発展を遂げるのみならず、人類共通の解決課題である資源環境問題に対して極めて有効な回答を示すことができるものと期待できる。
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