1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08404018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兵頭 俊夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90012484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 晴雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60235059)
長嶋 泰之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60198322)
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Keywords | 陽電子消滅 / 陽電子 / ポジトロニウム / 水晶 / 合成石英 / 四重極相互作用 / スピン偏極 / 偏極率 |
Research Abstract |
1 水晶単結晶中におけるポジトロニウムの平均寿命の測定 水晶単結晶中におけるポジトロニウムの平均寿命を、通常の寿命測定法ではなく、2光子角相関の磁場依存性から求めた。結果はオルソポジトロニウムの寿命が270ps、パラポジトロニウム寿命が160psであった。これにより、これまで未解決であった"水晶中のポジトロニウムの寿命はいくらか?"という問題に終止符を打つことができた。 2 陽電子運動量-寿命相関測定装置を用いたパラポジトロニウム寿命測定 水晶単結晶、アモルファス石英について、陽電子運動量-寿命相関測定装置を用いたパラポジトロニウム寿命測定法の適用を試みた。パラポジトロニウム成分の分離には成功したものの、信頼性のある結果を得るには至らなかった。 3 ポジトロニウムの四重極相互作用の検証 ポジトロニウムは結晶中ではhyperfine interactionのために四重極モーメントを持ちうることがBaryshevskiiらによって予言されている。我々はこの四重極モーメントと結晶場との相互作用を2光子2次元角相関法を用いて検出することを試みた。その結果、水晶結晶中では統計誤差以上の効果は見られず、四重極結合定数の上限は10^4eV程度と見積もられた。 4 固体中のポジトロニウムを用いた新しい陽電子スピン偏極率の測定法の開発 アモルファス石英を試料として陽電子消滅ドップラー広がりスペクトルの磁場依存性を測定することにより、陽電子スピン偏極率を求める方法を開発した。この方法は従来の陽電子寿命法や2光子角相関法に比べて測定がはるかに容易であり、スピン偏極陽電子ビームの偏極率測定に威力を発揮するものと期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y. Nagai: "Lifetime of delocalozed positronium in α-SiO_2"Phys. Rev. B. 60. 11070-11077 (1999)
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[Publications] K. Suregh: "Positron as a sensitive detector of changes in molecular structure""Advances in Molecular Structure Reserch" edited by M. Hargittai and I. Hargittai (JAI Press, Stanford). 313-357 (1999)
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[Publications] Y. Nagai: "Temperature dependence of momentum distribution of positronium in MgF_2, SiO_2, and H_2O"To be published in Phys. Rev. B.
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[Publications] Y. Nagai: "Measurement of positron spin polarization by using the Doppler broadening method"To be published in Nuel. Instr. Meth. A.