1999 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系の電子スピン共鳴とサイクロトロン共鳴の研究
Project/Area Number |
08404022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本河 光博 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30028188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 仁 神戸大学, 理学部, 助教授 (70194173)
小山 佳一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70302205)
左近 拓男 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80271964)
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Keywords | 重い電子系 / サイクロトロン共鳴 / 磁気共鳴 / COS_2 / 少数キャリヤー系 / GdAs |
Research Abstract |
今年度は昨年に引き続き、希土類化合物の磁気共鳴とサイクロトロン共鳴の実験を昨年度から今年度にかけて完成した超低温、強磁場でのベクトルネットワークアナライザーを用いて行った。高感度化にするため空洞共振器を用い、周波数40〜110GHz、最大磁場15T、最低温度500mKから最高温度300Kで行った。 1) GdAsについて、これまで不明であったスピン構造が、(111)面を磁化容易面とする構造であることが解明され、さらに温度500mKにおいてサイクロトロン共鳴の観測に初めて成功した。サイクロトロン共鳴磁場から見積もったキャリアーの有効質量は0.45〜0.48m0(m0=自由電子の質量)である。その方向依存性がほとんどないことから、球対称したフェルミ面をもつキャリアーの有効質量であると考えられる。この結果は、これまでに報告されている量子振動をから求めた有効質量と比べ約2倍大きい。 2) LaSbについては、4.2K以下でサイクロトロン共鳴の観測に成功した。サイクロトロン共鳴磁場の方向依存性を詳細に調べた結果、この共鳴は回転楕円体のフェルミ面をもつキャリアーによることが判明した。見積もられた有効質量は、<100>方向において0.26m0であり、量子振動をから求められた値と比べ約2倍大きい結果を得た。これまでサイクロトロン共鳴から得られた有効質量と量子振動からのそれとの比較はいくつかの低次元有機伝導物質について行われている。その結果前者は後者より小さく、理論的考察と一致している。今回これまで全く報告の無かった伝導性強相関物質のサイクロトロン共鳴が本研究によって初めて観測され、その有効質量を求めることが出来、逆の結果が得られた。それを説明できる理論は現在のところ無い。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Koyama: "Magnetic resonance of GdAs"Physica B. (inpress). (2000)
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[Publications] K.Koyama: "Antiferromagnetic resonance and magnetic structure of GdAs (to be published)"J.Phys.Soc.Jpn. (2000)
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[Publications] T.Sakon: "dHvA effect and magnetic resonance of GdAs"JJAP. 135-137 (1999)