1996 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素およびゲルマニウムを鍵元素とする高機能性分子の創出
Project/Area Number |
08404042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40004452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 健吉 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50187035)
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Keywords | ジシレン / ジアミノシリレン / フォトクロミズム / 原子値異性 / テトラシリルエチレン |
Research Abstract |
ケイ素-ケイ素2重結合の共役分子など、従来の有機および無機分子では発現し得ない特異な機能を有する有機ケイ素およびゲルマニウム分子を創出し、その物性と反応性を明らかにし、さらに、これらの特異な電子的性質を組み込んだ優れた機能特性を有する新物質群を設計・合成することを目的に本課題研究を行った。 (1)初めてのペルシラ環状不飽和化合物として、嵩高いトリアルキルシリル基で安定化されたヘキサキス(トリアルキルシリル)テトラシラシクロブテン(1)の合成に成功した。1は光照射によって対応するテトラシラビシクロ[1.1.0]ブタン(2)に異性化し、また、2は室温暗下、1に戻る。原子値異性による新しいフォトクロミズムが観察された。(2)最小の交差共役π電子系であるトリアフルベンの4位をケイ素で置き換えた4-シラトリアフルベン誘導体は芳香族性シクロプロペニウムイオンの安定性のためにそのケイ素-炭素2重結合の分極は著しく減じられていることが予想される。4-シラトリアフルベン誘導体の生成に成功し、この系のケイ素-炭素2重結合はアルコールに対する付加反応性が著しく低いことを明らかにした。また、非経験的分子軌道計算によってモデル反応の遷移状態を明らかにした。(3)理論計算によればジアミノシリレンの2量体としてのテトラアミノジシレンは安定点として存在せず、アミノ架橋4員環構造として存在すると予想されている。ビス(ジアルキルアミノ)シリレンを発生させてそのアミノ架橋4員環構造2量体の存在を交差実験によって証明した。(4)捻れたオレフィンであるテトラキス(トリアルキルシリル)エチレンの特異なσ-π共役を拡張した新しい共役系についてはまだ、合成に成功していないが、その途上、1,2-ビス(ブロモジメチルシリル)-1,2-ビス(トリメチルシリル)エチレンのメチルリチウムとの反応によってテトラキス(トリメチルシリル)エチレンジリチウムを生成する新しい興味ある反応を見いだした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T. Hoshi: "Synchronized fluorine exchange with ring inversion of pentafluoro-1, 4-disila-cyclohexane anion" Chem. Lett.683-684 (1996)
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[Publications] M. Kira: "Tetrakis (trialkylsilyl) digermenes. Salient effects of trialkylsilyl-substituents on planarity around Ge=Ge bond and remarkable thermochromism" Organometallics. 15. 3767-3769 (1996)
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[Publications] M. Kira: "The first stable cyclic disilene : hexakis (trialkylsilyl) tetrasilacyclobutene" J. Am. Chem. Soc.118. 10303-10304 (1996)
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[Publications] M. Kira: "Shynthesis and reactions of neutral hypercoordinate allylsilicon compounds having tropolonato ligand" Organometallics. 15. 5335-5341 (1996)
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[Publications] K. Sakamoto: "Generation and trapping of bis (dialkylamino) silylenes : Experimental evidence for bridged structure of diaminosilylene dimers" Bull. Chem. Soc. Jpn.70. 253-260 (1997)
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[Publications] L. C. Zhang: "Enantioselective allylation of aldegydes using tartrate ester modified allylsilanes" Chem. Lett.129-130 (1997)
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[Publications] M. Takahashi: "A theoretical study of stereochemistry of 1, 3-migration in allylsilane and related allylmetallic compounds" J. Am. Chem. Soc.in press (1997)