1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08404055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雅啓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20093221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 光泰 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40237996)
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Keywords | コケ植物 / 分子系統 / マツバラン / 器管系統発生 / 維管束植物 / 陸上植物 / 初期進化 |
Research Abstract |
陸上植物の系統進化の初期段階で起こった過程を明らかにする目的で、次の研究を行った。(1)コケ植物3綱と維管束植物の系統関係を分子データを用いて推定した。従来の分子系統学的な解析からは、コケ植物の系統関係についてコンセンサスが得られていなかった。これは、情報量の不足による統計的に有為な系統樹が推定できなかったことにある。そこで、rbcL、psaA、psaB、psbD、rpoC2の部分塩基配列を決定し、合計4563塩基対を系統推定に用いた。材料としては、セン類からニセツリガネゴケ、ミズゴケ、タイ類からゼニゴケ(データベースより)、コマチゴケ、ツノゴケ類よりナガサキツノゴケ、シダ類よりホウライシダ、種子植物からクロマツ、タバコ、イネ(種子植物は全てデータベースより)を選んだ。解析には、系統によるGC含量の変化の影響を受けにくいアミノ酸配列を用い、最尤法によって系統推定を行った。その結果、陸上植物で最も古くに分岐したのはツノゴケ類、次にセン類とタイ類からなる単系統群が維管束植物と姉妹群を形成した。セン類とタイ類はそれぞれ姉妹群を形成した。(2)維管束分化遺伝子の解析のために、ヒャクニチソウ維管束分化関連遺伝子であるTED3のプロモーター領域にレポーター遺伝子を融合したプラスミドを入手し、これに薬剤耐性遺伝子を組み込み、ニセツリガネゴケ形質転換系において実験可能とした。来年度に形質転換実験を計画している。(3)マツバラン地下軸の相同性を明らかにするために、分枝様式を頂端分裂組織の動態に着目して調べた結果、分裂組織の増幅が規則性をもたずに起こるために、様々な分枝様式が生まれることが分かった。このような様式は他のどの維管束植物の器管にも認められない独特の特徴であって、マツバラン地下軸の特異性を示すものであるといえる。
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[Publications] Yukiko Takiguchi: "Cell division pattern in the apices of subterranean axis and athal shoot of Psilotum nudum(Psilotacere):morphological and phylogenetic implications on the subterranean axis" American Journal of Botany. 84(in press). (1997)
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[Publications] Masahiro Kato: "Morphological diversity and evolution of Vege tahive organs in pteridophytes" Journal of Plant Research,Special Volume. (in press). (1997)
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[Publications] Mitsuyasu Hasebe: "Moletular phylogeny of Ginkgo biloba" Jouranl of Plant Researcl,Special Volume. (in press). (1997)
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[Publications] Mitsuyasu Hasebe: "Evolution of MAPS gene family in plants" Journal of Plant Reseavch,Special Volume. (in press). (1997)
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[Publications] 加藤雅啓: "6章:比較形態学のすすめ 岩槻邦男・馬渡俊輔(編)生物の種多様性" 裳華房, 342 (1996)