1996 Fiscal Year Annual Research Report
光異性化反応による液晶の分子配向制御と光応答性に関する研究
Project/Area Number |
08405008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八田 有ただ 東北大学, 工学部, 教授 (70005502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕史 東北大学, 工学部, 助手 (50236022)
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Keywords | 液晶 / 光異性化 / 分子配向 / 表面 / 赤外分光 / ラマン分光 / 振動スペクトル / 配向制御 |
Research Abstract |
本年度においては、基板表面分子の光異性化を確認するための分光解析装置の製作と、次年度へ向けての準備として、基板表面にアゾ系分子層を形成させる実験、およびそれを確認するための赤外吸収とラマン散乱の測定を行なった。まず、基板表面に光活性の単分子層を形成させる方法として、次のような実験を行なった。シリコンウエハ-に真空蒸着した銀の島状膜上にパラニトロ安息香酸(PNBA)の薄膜を形成させ、これにAr^+レーザーを照射し、銀表面に吸着したPNBA^-イオンと周囲のPNBAとの反応により、表面第1層としてパラカルボキシアゾベンゾエ-ト(PCAB)を形成させることを試みた。島状銀表面においては赤外吸収およびラマン散乱の強度が著しく増大することが予想されたが、本実験でもこれが確認され、吸着したPCABMの赤外、ラマンスペクトルを高感度で測定することができた。次いで、PCABの生成速度がAr^+レーザーのパワーとその照射時間に依存することが確認できたので、その詳細をラマンスペクトルにより明らかにした。その結果、PCABのN=N伸縮振動のレーザー照射によるバンド強度の増加は、例えば100mWのパワーでは約30分で飽和に達することがわかった。以上の実験により。液晶の光配向制御の測定に有用と思われる基板表面(コマンドサーフェス)の作製が可能であることが実証できたので、現在HeCdレーザー(紫外)とAr^+レーザー(可視)によるPCABの光異性化を確認するための赤外吸収測定を行なっている。PCABはアゾベンゼンと同様にN=N基を有しているので、トランス型とシス型が存在し得る。それゆえ、アゾベンゼンと同様に紫外および可視光により、それぞれ、シス型、トランス型へと変化すると思われる。これが確認でき次第、異性化に伴う液晶分子配向の変化を赤外、ラマンスペクトルにより明らかにする。
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