1998 Fiscal Year Annual Research Report
光異性化反応による液晶の分子配向制御と光応答性に関する研究
Project/Area Number |
08405008
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
八田 有尹 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田山 智正 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20184004)
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Keywords | 液晶 / 光異性化 / 分子配向 / 表面 / 赤外分光 / 配向制御 / 振動スペクトル |
Research Abstract |
821781 本年度においては、アゾベンゼンアルカンチオール:4-(4'-methoxyphenylazo)phenoxy)undecane-1-thiol(以下AZO11SHと略記)の金表面単分子膜のトランス-シス光異性化と、これによるネマチック液晶分子の配向変化を明らかにした。トランス体AZO11SHのクロロホルム溶液に金基板を浸漬することにより作製したトランス体AZO11S単分子膜では、紫外光照射によるトランス体→シス体への異性化率が小さいことがわかった,この結果は、高密度で配列したトランス体AZO11S膜においては断面積の大きなシス体への移行が許される十分な空隙が存在しないことを示唆すると考え、まずこの点を実証するために電子スペクトルおよび赤外反射スペクトルの測定を行った。すなわち、それぞれトランス体およびシス体AZO11SH溶液から作製したAZO11S単分子膜の光異性化の測定を行い、トランス体→シス体への異性化と比べてシス体→トランス体への異性化が起こりやすいことを明らかにした。また、AZO11S単分子膜表面上のシアノビフェニル系ネマチック液晶(K15)薄膜の赤外反射スペクトルが紫外光あるいは可視光照射により変化することから、これらの変化がAZO11Sの光異性化によるものであることが確認できた。今後は、光異性化に伴う液晶分子の動的応答性を明らかにするほか、構造の異なるアブベンゼン系チオール分子のセルファッセンブリー膜について上記と同様の実験を行い、液晶の光配向制御にさらに有用な分子を探索したい。
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