1998 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧・高周波プラズマプロセスの時空間分解発光分光計測とその制御
Project/Area Number |
08405014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片岡 俊彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50029328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押鐘 寧 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40263206)
遠藤 勝義 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90152008)
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Keywords | 大気圧・高周波プラズマ / 時空間分解発光分光計測 / 平均自由行程 / シース / 非発光励起種 / Helium |
Research Abstract |
大気圧・高周波プラズマの内部構造を解明するための計測用チャンバーを製作した。この装置では、チャンバー上部の空洞共振器を介して150MHzの高周波電力を投入することで、直径6mmの円筒状の電極間に設けた1mm以下のギャップ部に、種々の材料ガスを用いて大気圧・高周波プラズマを発生・維持することができる。 ストリークカメラを用いたプラズマ像の時空間分解計測を時間分解能〜100psで行なった。この値は、150MHzの高周波の1周期〜6.7nsを十分分解できる量であり、プラズマの発光構造の時間変化を観察することが出来た。 プラズマの時間分解発光像を議論する際には、電極に印加されている高周波電圧の時間波形との相関を調べる必要がある。この目的のため、超高速応答のレーザーダイオードをプラズマ発生電極部に設置し、150MHzの高周波電圧により点滅させ、この発光の時間変化をストリークカメラで観測した。この観測結果より大気圧・高周波プラズマは負グロー的に発光していることがわかった(電極に負電圧がかかっているとき、その近傍でプラズマが強く発光していた)。 Heガスを用いて発生させた高周波プラズマのバルク部とシース部での発光スペクトルの違いを光スペクトラムアナライザにより測定した。ガス圧力が1〜3気圧の場合、電極表面に薄く発生するシース部からの発光スペクトルには、バルク部の発光スペクトルよりも強度の強い、多種の線スペクトルが見られ、シース領域が非常に活性であることが推測された。中性He原子からの特徴的な発光スペクトルが何本も観測され(388nm,501nm,587nml,706nm)、それらの波長に対応したバンドパスフィルタを用いて、時空間分解発光分光像を観測した。電極は銅を用い、電極間隔は1mmとして、発光励起種の違いによる発光分布を観察した。501.57nm(3^1P→2^1S)および587.56nm(3^3D→2^3P)の発光像には、プラズマバルク部にも発光が現れているが、706.52nm(3^3S→2^3P)では観測されなかった。587.56nmと706.52nmとでは、発光に際して落ちてゆく下準位が同じであるにもかかわらず、発光分布が異なっていた。両者の間には励起エネルギーにほとんど差がないので、それぞれの励起過程、励起断面積の違いが如実に現れたといえる。 装置系の分光感度特性を校正し、相対比較した場合、放射寿命の長い準位からの発光である388.86nm(3^3P→2^3S)は、発光強度の時間変化が少なく、放射寿命の短い準位からの発光である587.56nm(3^3D→2^3P)は、高周波電界の変化を反映した。 He高周波プラズマの時間積分発光像を、ガス圧力を変化させて観測した結果、ガス圧力の増加に伴って、電極付近に形成されているシース部の発光強度が増加し、この領域が厚さが狭くなってゆくことがわかった。これは、プラズマ中の活性な領域が、電極近傍により局在化することを意味し、プラズマCVD、大気圧プラズマCVDにとっては、好都合の現象といえる。また、1気圧以上のガス圧力の場合には、プラズマのバルク領域にも発光が現れてくることがわかった。通常の低圧プラズマでは、この様な現象は観測されないので、大気圧以上のプラズマに特有の現象といえる。 電極材質に銅(導電体)とアルミナ(絶縁体)を用いた場合の、銅電極では、電極近傍にシース部の強い発光が生じており、活性なプラズマ領域が繰り返し生成されていると考えられる。これに対して、アルミナ電極の場合には、シース領域の幅が広く、また発光強度が弱くなった。これは、絶縁体のチャージアップ効果が原因となり、プラズマ部に印加される正味の高周波電圧が減少したためと考えられる。 He大気圧・高周波プラズマの発生条件のうち、電極間隔を変化させた観測結果では、シース部の厚みに変化はなく、バルク部(左右のシース部に挟まれた中央の暗部)の厚みが変化するだけであった。この結果からも、大気圧・高周波プラズマの主要部分は電極表面近傍のシース部であることがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 押鐘 他: "大気圧・高周波プラズマ中の励起種密度の計測-ホロカソードランプを用いた吸収分光計測-" 1998年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集. K13 (1998)
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[Publications] 遠藤 他: "大気圧・高周波プラズマの計測と制御-吸収分光法によるHe準安定原子密度の計測-" 1998年度精密工学会関西地方定期学術講演会講演論文集. A03 (1998)
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[Publications] 遠藤 他: "赤外半導体レーザー吸収分光法による大気圧・高周波プラズマ中のラジカル計測" 1999年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集. 152 (1999)