1997 Fiscal Year Annual Research Report
過去の経験をコードで記憶する高精度 アナログ不揮発性メモリの研究
Project/Area Number |
08405021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 直 東京大学, 工学系研究科, 教授 (00187402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 光司 東京大学, 大規模集積システム設計教育研究センター, 助教授 (20250699)
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Keywords | EEPROM / 不揮発性メモリ / アナログメモリ / FN注入 / 知能システム / 特徴ベクトル |
Research Abstract |
本研究は、人間の脳のように、事象を柔軟に認識したり理解することのできる知能電子システムを実現するため、その記憶装置を開発するものである。知能の源泉は、過去の経験からえられた記憶であり、その豊富さが知能の高さにつながる。そこでアナログの特徴ベクトルを、高精度・高速度で書き込める大容量不揮発性メモリチップの研究を行った。 平成8年度は、メモリセルとしては、Fowler-Nordheimトンネル現象を応用したセルを用い、メモリセルトランジスタのソースフォロワ動作によって書き込み中のメモリ内容をモニター、その値が所望の値となったときにコンパレータが動作して書き込みを終了する方式を検討した。今年度は、その書き込み精度の更なる向上をめざし、全く新たなセル構造を開発、7ビット相当の精度の書き込みを実現した。 新しいセルでは、ソースフォロワ読み出しに代って差動増幅器のヴォルテージフォロワ読み出し方式を採用した。つまり、複数のメモリセルトランジスタが各々セレクトトランジスタを介して読み出し回路のトランジスタと差動対を組むようにし、その作動出力を増幅してネガティブフィードバックをかける。ソースフォロワ読み出しは、本質的に動作が遅いが、この問題を解消した。また、メモリトランジスタの閾値変動の影響もなくなり、読み出し書き込みの精度が向上した。 もう一つの精度を決める重要な問題も、新たなアイデアによって解決した。この問題は、電子注入のためトンネル電極に高電圧を印可するが、これが容量結合によってフローティングゲートの電位は引き上げ、実際に書き込まれたデータ値より高い値がモニターされることにより生じるもので、アナログEEPROMのいわば宿命である。ダミ-書き込みサイクルの導入により、持ち上げによるシフト電圧をあらかじめ求め、その値をコンパレタのオフセットに導入することでほぼ完全にキャンセルすることに成功した。2層ポリシリコン、0.8ミクロンCMOSプロセスで2Kセルのテストチップを試作、7ビット相当の精度の動作確認を行った。さらに微細かの検討を進め、セル面積を約1/30にまで小さくできる見通しも得た。本技術は、知能システムのメモリ部としての応用はもちろんだが、これ以外にもその高速・高精度書き込み性能を応用した新たなシステム応用が展開するもので大変に重要な成果が得られたと考えている。
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[Publications] T.Shibata: "Event Recognition Hardware Based on Neuron MOS Soft Computing Circuits" International Journal on Computer and Electrical Engineering. (印刷中).
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[Publications] T.Shibata: "Nenral Microelectronics" Tech.Digest,International Electron Devices meeting'1997. 337-342 (1997)
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[Publications] T.Shibata: "Right-Brain Computing LSI for Intelligent Data Processing" Proc.11th Japan-Germany Forum on Information Technology. 4-6-4-23