1998 Fiscal Year Annual Research Report
核生成・成長過程独立制御による高品位cBNプラズマ合成
Project/Area Number |
08405047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 豊信 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00111477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 統 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10242041)
寺嶋 和夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30176911)
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Keywords | 立方晶窒化硼素 / プラズマプロセス / イオン衝撃 / 核生成・成長過程 / 低圧ICP-CVD / 高周波スパッタリング / 水素 / rBN |
Research Abstract |
本年度は、cBN核生成段階における堆積過程を明らかにすることと初期層厚の制御を目的として以下のことを行った。 [低圧ICP-CVD法における原料ガス比(B_2H_6/Ar)による初期層厚制御] 全圧一定の条件で原料ガスであるB_2H_6とN_2のArに対する流量比を0.06〜0.16の範囲で変えた実験を行った。その結果、初期層の厚みがB_2H_6/Ar比とともに約20倍程度増加し、流量比により初期層厚が制御できることが明らかとなった。またcBN堆積速度も約一桁程度増加した。これはcBN堆積が原料ガスの供給律速であることを意味しており、低圧ICP-CVD法の高イオン流束環境に因ると考えられる。すなわち、低圧ICP-CVD法においてもさらなる高速堆積が可能であること、また、低B_2H_6/Ar比で核生成を行ない、その後高B_2H_6/Ar比で成長を行う2段階堆積によって低圧ICP-CVD法においても初期層の生成を抑えつつ堆積速度が確保できることを示唆している。初期層厚の減少はB_2H_6/Ar比の減少によるAr^+の増加が一因と考えられるが、気相種の質量分析の結果H_2の量も減少しており、水素が初期層の生成に影響している可能性もあり、今後、膜中の水素量との対応を調べる必要があると考えられる。 [高周波スパッタcBN薄膜の核生成段階における構造変化] 高周波スパッタ法により作製したcBN薄膜の高分解能断面TEM観察を行った。初期sp^2結合層をcBN層の境界にrBN-likeな構造が存在すること、また、rBNとcBNに一定の方位関係があることが明らかとなった。現時点では、このrBNがcBN生成の先駆体となっているのか、あるいは核生成サイトになっているのかは不明であるが、この結果は、cBNの高配向化や結晶粒の粗大化において初期層の堆積制御が極めて重要であることを示しており、2段階堆積法の有効性を示唆していると考えられる。
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Research Products
(1 results)