1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08405048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柴田 俊夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90001205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春名 匠 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70243186)
藤本 愼司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70199371)
谷口 滋次 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50029196)
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Keywords | 不働態 / ステンレス鋼 / 構造制御 / 電気化学 / イオン注入 / 高温酸化 / スパッタ薄膜 / 紫外光 |
Research Abstract |
イオンビームスパッタリング法によって生成したSUS304鋼薄膜への各種添加元素の効果を検討した。基材となるSUS304鋼および添加元素をそれぞれ独立のイオンビームでスパッタして合金化した。検討した添加元素は、Al,Ti,Si,Cu,Nb,Mn,Mo,Wである。これらの合金元素の効果は従来より検討されてきたが、これらの多くは析出物の形成、組織の変化を伴うために不働態皮膜に対する化学的効果は明らかでなかった。イオンビームスパッタリングを用いることにより、介在物などはスパッタリングの際に分解蒸発し基盤中には固溶あるいは均一に分散する。Nb,Mo,Wは活性溶解を低減し、塩化物水溶液中での耐孔食性を著しく向上させる。また、Tiも耐孔食性を高める。一方、Mn,Al,Cuは塩化物水溶液中での耐孔食性低下させ、特にMn,Cuは著しい。 一方、紫外線照射による不働態皮膜の改質効果に関する検討では酸性水溶液中にてFe-Cr合金の不働態化最初期過程にて紫外線を照射すると皮膜中のCr濃縮を加速させ耐食性を強化できることが明らかとなった。酸性溶液中でのFe-Cr合金の不働態皮膜の半導体的性質はp型であることが知られていたが、最初期過程はn型であり皮膜の形成に伴なってp型に変化する。紫外光によるCr濃縮効果はこのn型段階で主に生じることが分かった。さらに、TiAl金属間化合物へのイオン注入による耐高温酸化性強化に関する検討では、Mo,Nb,Clは耐酸化性を向上させるが、Clの効果は少量で著しい、一方Si,Zrでは効果は初期のみに効果があった。イオン注入は大きくても100nm程度の表面改質であるが数μmの酸化皮膜を生成する段階まで効果が持続し、さらにその後の酸化をほぼ停止できることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 藤本慎司、柴田俊夫: "鉄系金属ステンレス鋼の不働態皮膜" 表面科学. 19・12. 812-818 (1998)
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[Publications] S.Fujimoto,T.Shibata: "Photo Electrochemical Response of Passive Films Formed on Pure Cr and Fe-Cr Alloys in Sulphuric Acid Solution" Materials Sciences Forum. 289/292. 989-996 (1998)
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[Publications] S.Fujimoto,T.Shibata: "Improvement of Pitting Corrosion Resistance of Type304 Stainless Steel by Modification of Passive Film with Ultraviolet Light Irradiation" Journal of Electrochemical Society. 145・5. L79-81 (1998)
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[Publications] 藤本慎司、柴田俊夫: "硫酸水溶液中でFe-18Cr合金に生成する不働態皮膜の紫外光照射による改質" 日本金属学会誌. 63・3. (1999)
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[Publications] S.Taniguchi,K.Uesaki,Y.-C.Zhu,H.-X.Zhang and T.Shibata: "Influence of Niobium Ion Implantation on the Oxidation Behaviour of TiAl under Thermal Cycle Conditions." Materials Scuence and Engineering. A249-1. 223-228 (1998)
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[Publications] S.Taniguchi,H.Juso and T.Shibata: "Effect of Hf Addition on the Isothermal Oxidation Behaviour of TiAl at High Temperatures" Oxidation of Metals. 49-3/4. 325-330 (1998)