1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的ゲノム再編成によるオオムギ染色体の物理的地図作製と分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
08406001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 隆 京都大学, 農学研究科, 教授 (60068830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須田 周平 京都大学, 農学研究科, 助手 (10273492)
宮下 直彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20212243)
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Keywords | オオムギ / パンコムギ / 染色体構造変異 / 欠失 / in situ hybridization / サブテロメリック配列 |
Research Abstract |
本研究は、オオムギ染色体の添加されているパンコムギに遺伝的に染色体構造変異を誘発してオオムギ染色体の欠失系統を育成し、オオムギ染色体の物理的染色体地図を作製することを目的としている。本年度は、前年度までに育成した完全な6オオムギ染色体(IHを除く)についての染色体構造変異を起こす系統(2n=45,21"+1"H+1'2C:Hはオオムギ染色体、2Cは染色体構造変異を起こすAegilops cylindrica由来の染色体)の内、7Hの系統、そして、新たに育成した4HLの系統(2n=45、21"+1"4HL+1'2C)について、オオムギのサブテロメリック配列をプローブに用いた分子雑種形成法(in situ hybridization : ISH)による7H、4HLの構造変異の選抜を試みた。ISHは蛍光標識を用いたが、その方法に改良を加え、多数の個体の選抜を容易にできるようにした。特に、プレパラートの変成を従来のホルムアミドから1Mリン酸-ナトリウム溶液を使用するようにしたことは、ISHを日常的な選抜手段にするに当たり、画期的なことと自負している。選抜の結果、予想以上の高頻度でオオムギ染色体に構造変異が生じていることが明らかになった。7Hの系統について、その自家受精子孫で調査した90個体中、9個体が欠失を、9個体がオオムギ/パンコムギ染色体転座を有していた。ところが、7Hの系統に正常パンコムギの花粉を交配した子孫では、49個体中、2個体のみが欠失を有するだけであった。この結果は、花粉側からオオムギ染色体構造変異が伝達しやすいことを示しており、今後の選抜に当たって大いに参考になる情報を与えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shimizu,Y.: "Detection of the Sec-1 locus of rye by a PCR-based method" Genes & Genetic Systems. 72. 197-203 (1997)
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[Publications] Shi,F.: "Production of wheat-barley disomic addition lines possessing an Aegilops cylindrica gametocidal chromosome" Genes & Genetic Systems. 72. 243-248 (1997)
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[Publications] Schubert,I.: "An efficient screening for terminal deletions and translocation of barley chromosomes added to common wheat" The Plant Journal. (in press). (1998)