1996 Fiscal Year Annual Research Report
植物・土壌系におけるアルミニュウムとケイ酸の相互作用の機構解明
Project/Area Number |
08406007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
但野 利秋 北海道大学, 農学部, 教授 (40001440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 直治 北海道文理科短期大学, 酪農家, 教授 (90229708)
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Keywords | アルミニウム / ケイ酸 / アロフェン / アルミニウム障害 / オオムギ / コムギ / Alp / Alo比 / ジャガイモそうか病 |
Research Abstract |
(1)土壌の水抽出液中Al濃度はアロフェン含有率が高い土壌で低く、アロフェン含有率が低い土壌で高かった。すなわち、pH5.3の水抽出液中Al濃度はアロフェン含有率が5%である土壌で0.01mg・kg^<-1>前後であるのに対し、アロフェンが1%以下の土壌では0.1-0.2mg・kg^<-1>であり、アロフェン含有率の高低が土壌溶液のAl濃度を強く支配することを明らかにした。(2)水耕培養条件で検討した結果、Alによる生育障害はオオムギ、コムギともに2および10mMSiO_3の共存によって軽減された。(3)Al存在下で生育した両作物の地上部のAl含有率はSiO_3の共存によって低下し、NおよびP含有率は上昇した。K, CaおよびMg含有率はSiO_3の共存によって低下した。(4)土壌を寒天培地に混合し加熱殺菌した場合、培地のpHに変化が生じるが、この場合ピロリン酸可溶Alとシコウ酸化溶の比(Alp/Alo)が低いほど培地のpHが上昇し、この上昇率は土壌のアロフェン含有率と正比例した。ジャガイモそうか病菌の生育はpHが高いほど旺盛になることから、アロフェン含有率が高い土壌でのジャガイモそうか病の多発はAlイオンの活性が低いことによると推定された。アロフェン質土壌の基準は現在Alp/Alo比0.5以下とされているが、培地のpH上昇が明瞭に現れるAlp/Alo比は0/2以下であった。すなわち、このような土壌ではジャガイモそうか病菌や植物の生育に有害なピロリン酸可溶Alが極めて低く、大半の可溶性Alはシュウ酸可溶性であり、これはアロフェン含有率と正の相関関係があるAlであった。(5)網走地方のアロフェン土壌地帯では、河川水中のケイ酸濃度が40mg・kg^<-1>と著しく高い。土壌のアロフェン含有率が低い地帯を流れる河川水中のケイ酸濃度は10-20mg・kg-1程度である。したがって、河川水のケイ酸濃度を測定することにより、アロフェン土壌と作物にAl障害をまたらす可能性がある地帯、ひいてはジャガイモそうが病多発地帯を推定することが可能である。
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[Publications] 水野直治・吉田穂積・山本和宏: "ジャガイモそうか病発生に対するイオン強度および施肥法の影響" 日本土壌肥料学雑誌. 66. 659-645 (1995)
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[Publications] 水野直治・吉田穂積: "バレイショ生産地帯における土壌と河川水中の可溶性ケイ酸とアルミニウム含有率の差異" 日本土壌肥科学雑誌. 66. 126-132 (1994)
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[Publications] 渡辺敏裕・水野直治・但野利秋: "高濃度の鉄および銅含有試料における8-キノリノールを用いた微量アルミニウムの定量法の改良" 日本土壌肥料科学雑誌. 68(印刷決定). (1997)