1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミン・システムの分子神経薬理学的研究:代謝酵素、トランスポーター、H3受容体をターゲットとして
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08407005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邊 建彦 東北大学, 医学部, 教授 (70028356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 広平 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (20200579)
大津 浩 東北大学, 医学部, 助手 (60250742)
谷内 一彦 東北大学, 医学部, 助教授 (50192787)
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Keywords | ヒスタミン / ヒスタミン・トランスポーター / ヒスタミンH_3受容体 / ヒスチジン・デカルボキシラーゼ / ヒスタミンN-メチルトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
1.ヒスタミンの合成酵素(ヒスチジン脱炭酸酵素、HDC)の遺伝子の発現調節機構を研究した。ヒトHDC遺伝子の肥満細胞での特異的発現は、DNase I hypersensitive siteやメチル化シトシンの分析により、HDC遺伝子プロモーター領域の構造上の違いによることを明らかにした。また、クローン化マウス肥満細胞腫P815の腹腔内誘導を行い、その前後でHDC遺伝子近傍のDNaseI高感受性領域をDNAブロット法で検討したが、誘導前後での変化は見られなかった。動物種によりHDC遺伝子の発現調節機構が異なる可能性が考えられた。 2.HDC遺伝子のターゲティングのプロジェクトは、Nagy博士(カナダ)らの協力のもとで,ターゲティング・ベクターの構築、胎児幹細胞への導入、キメラマウスの作成、F1マウスの作成を完了し、現在、F2マウスの遺伝子解析を行っている最中である。これらが終了次第、表現系の解析に移る。 3.ヒスタミン分解酵素(ヒスタミンN-メチル基転移酵素、HMT)の遺伝子は、クローン化を終了し、現在、塩基配列を決定中である。また、HMT遺伝子の発現調節機構の解明に向けた研究を開始した。 4.ヒスタミン・トランスポーターについては、ラット脳のシナプトゾーム分画を用いて、そのアッセイ系をほぼ確立した。 5.ヒスタミンH_3受容体のクローニングについては、H_1、H_2受容体との共通塩基配列に着目したPCRクローニング法は、有効でないので、今後H_3受容体を介する電気生理学的特性を明らかにし、それを指標にしたアフリカツメガエル発現系にストラテジーを変更すべく、検討中である。 6.ヒスタミンH_1受容体遺伝子ノックアウトマウスの行動薬理学的評価を行った。ノックアウトマウスは、野生型に比して新規環境で不安状態が強いという特徴を有していた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] I. Inoue: "Impaired locomotor activity and exploratory behaviour in mice lacking histamine H1 receptors." Proc. Nat. Acad. Sci. USA. 93・22. 13316-13320 (1996)
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[Publications] J. H. Ryu: "Effects of chronic treatments with dopamine D1 and D2 agonists on histamine H3,dopamine D1 and D2 receptors in unilaterally 6-hydroxydopamine-lesioned rats." Br. J. Pharmacol.118・2. 585-592 (1996)
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[Publications] N. Sakai: "Long-term depletion of brain histamine induced by α-fluoromethylhistidine increase : feeding associated locomotor activity in mice with a modulation of brain amino acid levels." Behav. Brain Res.72・1. 83-88 (1996)
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[Publications] H. Yokoyama: "Centrally acting histamine H1 antagonists promote the development of amygdala kindling in rats." Neurosci. Lett.217・1. 11-13 (1996)
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[Publications] X. -L. Zhao: "Effects of unilateral vagotomy on nitric oxide synthase and histamine H3 receptors in the rat dorsal vagal complex." J. Chem. Neuroanat.11・2. 221-229 (1996)
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[Publications] H. Ohtsu: "Histidine decarboxylase expression in mouse mast cell line P815 is induced by mouse peritoneal cavity incubation." J. Biol. Chem.271・45. 28439-28444 (1996)
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[Publications] 前山一隆: "薬理学(上)" 広川書店, 28 (1996)
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[Publications] 渡邊建彦: "脳と神経シリーズ" メディカル・ビュー社, 29 (1996)