1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミン・システムの分子神経薬理学的研究:代謝酵素、トランスポーター、H3受容体をターゲットとして
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08407005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邊 建彦 東北大学, 医学部, 教授 (70028356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 広平 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (20200579)
大津 浩 東北大学, 医学部, 助手 (60250742)
谷内 一彦 東北大学, 医学部, 助教授 (50192787)
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Keywords | ヒスタミン / ヒスタミンH3受容体 / ヒスチジン脱炭酸酵素 / ヒスタミン・トランスポーター / ヒスタミンN-メチル基転移酵素 |
Research Abstract |
ヒスタミンの合成酵素(ヒスチジン脱炭素酵素、HDC)の遺伝子の発現調節機構を研究し、肥満細胞におけるヒトHDC遺伝子の細胞特異的発現は、プロモーター領域のCpG配列の脱メチル化によることを明らかにした。また、HDC遺伝子のノックアウト(KO)マウスを作成した。KOマウスは、も正常に分娩、発育し、外観上も野生型と差を認めない。脳、胃のHDC活性は著しく低下していたが、ヒスタミン含量は、10〜30%存在した。絶食後に各臓器のヒスタミン含量およびHDC活性を測定したところ、絶食前と比べてヒスタミン量は大きく減少したことから、食餌中に含まれるヒスタミンの吸収による影響があると考え、今後、低ヒスタミン食を検討する予定である。その上で、行動実験やアレルギー誘発実験など表現系を解析中である。ヒスタミン分解酵素であるヒスタミンN-メチル基転移酵素(HMT)の遺伝子のクローニングについては、転写開始点の決定に手間どっている。さらにHMT遺伝子を高発現し、ヒスタミン分解能を高める目的で、HMTのトランスジェニックマウスを作成中である。ヒスタミン・トランスポーターについては、三環系抗うつ薬であるイミプラミンが強い阻害作用を有することを見いだした。ヒスタミンH_3受容体の電気生理学的研究を行い、H_3受容体はP,Q型カルシウムチャネルを介してCa^<2+>流入を促進することを見いだした。ヒスタミンH_1受容体遺伝子ノックアウトマウスの行動薬理学的評価を行い、ノックアウトマウスは、野生型に比して新規環境で不安定状態が強いという特徴をさらに確認した。これらの結果は、H1受容体のアセチセンス法を用いた検討とも一致した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] C.Ito: "Cocaine and histaminergic neuron." J.Neurochem.69. 875-878 (1997)
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[Publications] S.Nakagawa: "Identification of multiple regulatory elements of the L-histidine decarboxylase." J.Biochem.121. 935-940 (1997)
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[Publications] K.Yanai: "Excitotoxic lesions of histaminergic neurons by excitatory amino acid agonists in the rat brain." Neurosci.Lett.233. 1-4 (1997)
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[Publications] K.Maeda: "Induction of L-histidine decarboxylase in a human mast cell line,HMC-1 by phorbol 12-myristate 13-acetate." Exp.Hematol. (印刷中). (1997)
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[Publications] K.Yanai: "Targeting disruption of histamine H1 receptors in mice : Behavioral and neurochemical characterization." Life Sci.(印刷中). (1997)
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[Publications] A.Kuramasu: "Mast cell/basophil-specific transcriptional regulation of human L-histidine decar-boxylase gene expression by CpG methylation in the promotor region." Mo1. Cell. Biochem.(発表予定). (1998)
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[Publications] 福井裕行: "薬物受容体(高柳一成編)" 南山堂(印刷中), (1998)
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[Publications] 谷内一彦: "医系薬理学" 中外医学社, 7 (1997)