1997 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞の分化、活性化、細胞死を制御する細胞内分子機構の解明
Project/Area Number |
08407012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邊 武 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (40028684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 継揚 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80231041)
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Keywords | B細胞分化 / シグナル伝達 / チロンシンキナーゼ / 自己免疫病 / 胚中心 / 抗体親和性 / リンパ球形成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、B細胞の活性化、分化、細胞死を誘導する情報伝達経路に関わる分子群を同定すると共にその機能を分子レベル、個体レベルで明らかにし、それらの分子の異常がどのような免疫異常、特に自己寛容等の免疫機能の破綻にどのように関わっているかを解明する事である。本年度に得られた成果は(1)胚中心形成障害をもつLynキナーゼ欠損動物における抗体親和性の亢進。Srcファミリーチロンシンキナーゼの一つであるLynキナーゼ欠損マウスでは、胚中心形成が全く生じない。胚中心は、抗体のクラススイッチ、抗体親和性の亢進、記憶B細胞の形成などに重要な役割を果たすと考えられている。lyn遺伝子欠損マウスでは胚中心形成に障害があるにもかかわらず、抗原特異的なクラススイッチ及び抗体親和性の亢進(affinity maturation)、抗体可変部領域における体細胞超突然変異は正常に生ずる事が分かった。この結果は、これまでの定説と異なり、胚中心の構築そのものは、必ずしも抗体親和性の亢進に必須ではない可能性を示唆した。(2)Lynキナーゼ欠損マウスでは、血清IgMの上昇、加齢に伴う脾腫及び自己抗体産生性系球体腎炎などの異常が認められるが、Btkキナーゼ異常を持つxidマウスと掛け合わせると自己免疫病の発症が消失した。Lynキナーゼ異常によって起こる自己免疫病の発症にBtkキナーゼが関わっている事が分かった。(3)我々が単離したマウスリンパ組織特異的Formin関連遺伝子Frlは、リンパ組織に発現が認められた最初のFormin family遺伝子である。Frlタンパクは核に存在する。Frl遺伝子は11番染色体の遠位部に存在し、リンパ節形成不全マウスの原因とされるaly遺伝子座の1cM以内に位置することが分かった。現在、ノックアウトマウスの作成を行っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Takeshita,T.watanabe.et al: "Abrogation of autoimmune disease in Lyn-deficient mice by the mutation of Btk gene." International Immunology.(in press). (1998)
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[Publications] J.Kato,N.Motoyama T.watanabe.et al: "Affinity maturation in Lyn-deficient mice with detective germinal center formation." J.Immunology. (in press). (1998)
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[Publications] X-M.Wu,M.Nakashima and T.Watanabe: "Selective suppression of antigen specific Th2 cells by continuous micro-dose oral tolerance." Eur.J.Immunol.28. 134-142 (1998)
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[Publications] K.Masuda,J.Wang Wang,J.et al: "Reduced susceptibility to Fas-mediated apoptosis in B1 cells." Eur.J.Immunol.27. 449-455 (1997)
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[Publications] Y.Yamanashi,T.watanabe.et al: "Role of tyrosine phosphorylation of HS1 in B cell antigen receptor-mediated apoptosis." J.Exp.Med.185. 1387-1392 (1997)
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[Publications] Y.Suzuki,C.Demoliere T.watanabe.et al: "HAX-1,a novel intracellular protein,localized on mitochondria,directly associates with HS1,a substrate of Src-family tyrosine kinases." J.Immunology. 158. 2736-2744 (1997)