1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08407021
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
橋本 公二 愛媛大学, 医学部, 教授 (00110784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 克人 弘前大学, 医学部, 助手 (20236730)
花川 靖 愛媛大学, 医学部・付属病院, 助手 (90284398)
藤山 幹子 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (60263935)
白方 裕司 愛媛大学, 医学部, 助手 (50226320)
中岡 啓喜 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (30172266)
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Keywords | アデノウィルスベクター / 表皮細胞 / ベータ・ガラクトシダーゼ / 遺伝子導入 / 無血清培養法 / 293細胞 / MOI |
Research Abstract |
本年度はアデノウィルスベクターによる表皮細胞への遺伝子導入の至適条件の検討ならびに三次元培養皮膚移植の基礎的検討を行った。 表皮細胞への遺伝子導入の至適条件の検討:前年度のbeta-galactosidase遺伝子を挿入したアデノウィルスベクターによる解析では100%の表皮細胞へ遺伝子導入可能であり、その効率はMOI(multiplicity of infection)と感染時間に比例することを確認した。本年度はさらに細胞傷害性と遺伝子導入について検討した。MOIが20以上になるとほとんどの表皮細胞は傷害され、増殖が抑制された。MOIが10以下では細胞障害はほとんどみられず、正常に増殖することが確認された。 TGF-beta receptor mutantを挿入したアデノウィルスベクターを用いて同様の検討を行った結果、MOIが10以下では細胞障害性は認められなかった。また、MOIが5においても機能的には十分の遺伝子導入効果を発揮していることをDNA合成を指標に確認した。以上の結果より、表皮角化細胞へのアデノウィルスベクターを用いた遺伝子導入に際してはMOIの決定が非常に重要であることが示唆された。幹細胞はslow cycling cell,label retention cellであるとの報告より、green fluorescence proteinを挿入したアデノウィルスベクターを作成し、角化細胞の分裂に伴い蛍光色素のretentionの有無を観察することにより幹細胞のdetectを試みた結果、通常の培養条件においてもlabel retention cellの存在が示唆された。三次元培養皮膚移植の基礎的検討:Bellの方法に準じて三次元培養皮膚を作成した。従来の培養表皮と比較して、基底膜の構成成分の形成、ならびに十分の強度を保った角層の形成を確認し、正常皮膚と遜色ないことが明らかとなった。潰瘍患者2例に対して自家3次元培養表皮移植を施工した結果、従来の方法に比べ明らかに正着性の向上がみられた。
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