1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植後早期のグラフト機能不全の機序解明とその制御に関する研究
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08407031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉町 圭蔵 九州大学, 医学部, 教授 (00038762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢永 勝彦 九州大学, 医学部, 講師 (70220176)
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Keywords | 肝臓移植 / 冷虚血再潅流障害 / Kupffer細胞 / 遺伝子導入 / TNFα / NF-κ B decoy |
Research Abstract |
(実験1)TNFαアンチセンスによる肝虚血再潅流障害の改善 BNラット肝移植モデルにおいて、摘出肝の門脈よりTNFαmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(18mer)を封入したHVJ-liposomeを導入した。乳酸加リンゲル氏液に6時間冷保存後、同所性肝移植を行い以下の知見を得た。 アンチセンス導入により移植4時間後のAST,ALT,LDH値の低下と1週間生存率の向上(20%が70%に)を確認した。再潅流後の移植肝組織をICAM-1,Tissue Factorの抗体を用いて免疫組織染色したところ、アンチセンス導入によりそれらの発現低下を認めた。電子顕微鏡にて移植肝を観察したところ、Vector群では異物を貧食したKupffer細胞の異物貧食、類同内皮の破壊、肝細胞villiの類洞への露出等の所見がほぼ消失した。ELISA法にて測定した血中TNFα値はアンチセンス導入群により著明に低下した。 (実験2)NF-κ B decoyによる肝虚血再潅流障害の改善 種々のサイトカインの転写を制御する転写因子NF-κ Bに注目し、そのdecoy DNAであるNF-κ B decoyがHVJ-liposomeをvectorとして移植肝に導入できる事を確認した。今後はNF-κ B decoyの遺伝子導入により複数のサイトカインの発現を同時に抑制し、各種サイトカインの濃度をELISA法で、またmRNAの動態をNorthern blottingにて検討する予定である。
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