1998 Fiscal Year Annual Research Report
大腫癌の生物学的特徴に関与する遺伝子異常の総合解析
Project/Area Number |
08407037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武藤 徹一郎 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (20110695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 治 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10261976)
名川 弘一 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80228064)
鶴尾 隆 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (00012667)
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Keywords | 大腸癌 / APC遺伝子 / replication error / 化学療法 / 放射線治療 / アポトーシス / 細胞周期 |
Research Abstract |
1. 大腸癌発生関連遺伝子の解析 大腸癌発生に深く関与している癌抑制遺伝子APについて、その臨床応用を目指した検討を行った。APCは巨大な遺伝子であるため、遺伝子異常の有無を測定することが困難な状況であるのが実状である。これを解決するために、AP遺伝子の断片を測定するスクリーニング法を確立した。一方、ミスマッチ修復遺伝子異常によって生じる大腸癌については、多発性大腸ポリープに対する治療方針決定の観点から検討を行った。その結果、表面型腺腫では33%、癌では50%のreplication error(RER)が認められた。従って、表面型腫瘍においては、RERが大腸癌発生過程の初期段階で生じることが判明した。 2. 化学療法、放射線治療抵抗性関連因子の解析 大腸癌に対する化学療法の感受性については、大腸癌細胞株を用いたアポトーシス関連因子の検討を行った。アポトーシスに強く関与しているBcl-2ファミリー(Bcl-2、Bcl-X_L、Bax、Bad、Bak)の発現を5種類のヒト大腸癌細胞株を用いて検討した。その結果、腫瘍に発現するアポトーシス抑制因子(Bcl-X_L)と促進因子(Bax)との比率が化学療法の効果を予測する上で重要なポイントであることが判明した。一方、放射線感受性については、細胞周期調節因子として重要なp53とp21/WAF1の発現ならびにアポトーシス関連因子としてBcl-2の発現を照射前の生検標本で調べ、それぞれの発現と照射効果について臨床例での検討を行った。その結果、P53の発現が陰性でP21の発現が陽性の場合、照射効果が著明で、逆にp53陽性でp21陰性の場合、放射線抵抗性であることが判明した(正診率93%)。これにより、照射前にその効果をある程度予測できることが判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tominaga O, Nita ME, Nagawa H, Muto T: "Screening for APC mutations based on detection of truncated APC proteins" Digestive Diseases and Science. 43・2. 306-310 (1998)
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[Publications] Fu CG, Tominaga O, Nagawa H, Turuo T, Muto T: "Role of p53 and p21/WAF1 detection in patient selection for preoperative radiotherapy in rectal cancer patients" Diseases of the Colon and Rectum. 41・1. 68-74 (1998)
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[Publications] Nita ME, Nagawa H, Tominaga O, Tsuruo T, Muto T: "5-Fluorouracil induces apoptosis in human colon cancer coll lines with modulation of Bcl-2 family proteins" British Journal of Cancer. 78・8. 986-992 (1998)
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[Publications] Sasaki S, Nagawa H, Muto T: "Microsatellite instability is associated with the macroscopic configuration of neoplasms in patients with multiple colorectal adenomas" Japanese Journal of Clinical Oncology. 28・7. 427-430 (1998)