1997 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植における抗原体の個体差と経時的変化に適合させた免疫抑制療法に関する研究
Project/Area Number |
08407038
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252449)
猪股 裕紀洋 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50193628)
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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Keywords | 生体肝移植 / 組織クロスマッチ / 組織抗原 / 免疫組織化学 / 拒絶反応 / HLA抗原 |
Research Abstract |
研究の前段階において、ドイツ連邦共和国との共同研究によって、様々な病態下にある脳死グラフト肝における非実質細胞の傷害ないし活性化の指標として、モノクローナル抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。成熟Kupffer細胞に対し25F9、類洞内皮細胞に対しvon Willebrand因子関連抗原、好中球に対しCD11b、血小板に対しCD62、その他 Interleukin-1β(IL-1β)、Intercellular adhesion molecule(ICAM)-1、humanleukocyte antigen(HLA)-DRの染色も行った。またH&E染色にてグラフト肝脂肪沈着の評価も併せて行った。これらの結果、脳死移植肝では、ドナーからの肝の摘出前か種々の非実質細胞が様々な障害を受け、これが移植後の予後と密接に関係するばかりでなく、早期の急性拒絶にも結びつくことが明かとなった。 生体肝グラフトでは脳死体のような急性傷害がなく保存時間も短いため、移植前の傷害は最小限に抑えられているが、再灌流時の急性反応は内皮細胞、好中球、血小板の活性化をひき起し、さらにサイトカインの遊出や接着分子、HLAの発現に結びつく。そこで、これらのマーカーを用いて生体移植肝グラフトの生検検体を経時的に染色し、臨床的拒絶反応との関係を検討している。さらに、別途行っている生体ドナーのリンパ球を用いたflow cytometryによるcrossmatch test陽性(抗HLA抗体陽性)の血清を用い、グラフト肝組織との反応性、反応部位を解析し、これらと肝組織のHLA(class IおよびII)発現の部位と強さとの関係を検討中である。さらに、crossmatch test 陰性にもかかわらず臨床的に拒絶の起きている症例では、肝組織中のHLA以外の抗原を血清中の抗体が認識して拒絶をひき起している可能性があり、これも免疫組織化学手法によって検討中である。こうして得られた拒絶反応の分類に基づいて、今後、治療法の分類検討を行う予定である。
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