1996 Fiscal Year Annual Research Report
時間変動電界によるドラッグデリバリーシステムの研究-高速電気浸透麻酔の開発-
Project/Area Number |
08407066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
海野 雅浩 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (90014125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深山 治久 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20189921)
織田 暢夫 東京工業大学, 名誉教授
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / 変動電磁場 / gradient force / イオン移動 / 電場勾配 |
Research Abstract |
変動電磁場によるドラッグデリバリーシステムの理論的基礎となる現象は電磁場によるイオンの強制拡散である.この現象のメカニズムを解明するために現象を単純化した実験システムをまず構築した. アクリルを用いて作製した2個のセルをセロファン膜を介して小口径のパイプで連結し,一方のセルには生理食塩水を,他方には蒸留水を満たしこの系の両端から変動電場を作用させてイオンの透過率をインピーダンスアナライザー(HP4194A)を用いて計測した.計測制御およびデータ解析はHP-VEEを用いてパーソナルコンピューター(Aptiva H75)で行った. 1kHzの正弦波を作用させた場合,10Vから30Vへと電圧を上げることによりイオンの透過速度が上昇した.また,10Vの正弦波を作用させた場合,100Hz,1kHz,10kHzよりも1MHzの方か倍近い透過速度が得られた.波形については正弦波よりも矩形波の方が透過速度が大きかった.電場強度の空間的勾配を与えて通電した実験では,電場の勾配と同じ向きにイオンが移動するほうが逆向きに移動するよりも大きい透過速度が得られた.この結果により,変動電場を用いても効果的にイオンを移動させることができることがわかった.さらに,従来考えられていたクーロン力によるイオンの移動ではなく,電場のgradient forceによるイオンの移動が変動電場においては効果的であるという結論が得られた. この方法を人体にも適用して局所麻酔薬を前腕部に経皮的に投与し,薬剤浸透部位よりも広い範囲で鎮痛効果を得た.
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