1998 Fiscal Year Annual Research Report
時間変動電界によるドラッグデリバリーシステムの研究-高速電気浸透麻酔の開発-
Project/Area Number |
08407066
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
海野 雅浩 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (90014125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深山 治久 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20189921)
織田 暢夫 東京工業大学, 工学部, 名誉教授
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Keywords | ドラッグデリバリー / 変動電界 / 電気浸透 / 電解質溶液 / インピーダンス / 周波数特性 / 局所麻酔薬 / 通電セル |
Research Abstract |
変動電界による薬物デリバリーシステムの基礎となる各種局所麻酔薬イオンの透過性の評価をするために、単純化した通電セルを用いて1次側セルから2次側セルにイオンを拡散させ、2次側セルの溶液のインピーダンスを測定することにより、塩酸リドカイン、塩酸ブピバカイン、塩酸ロピバカインなどのイオンの浸透速度を決定した。リドカインイオンの透過速度については、高速液体クロマトグラフィーによってイオン濃度の測定を行い、インピーダンス法による測定との比較をすることによって実際に目的のリドカインイオンが透過していることも確認し、インピーダンス法の正当性を確認した。 この通電セルに入れた溶液に種々の電界を作用させてイオンの透過速度の違いを調べた。その結果、変動電界を作用させる際に、イオン透過速度の電界周波数に対する依存性は1kHz付近に特異的な極大を有することが判明した。また5Vから30Vの範囲でイオン透過速度が電圧に対して正の相関を持つことを見いだした。さらに電界強度の空間変化がイオンの透過速度に影響を与えることをも見いだした。 用いたpHの条件下では塩酸リドカインの透過速度が最も速く、塩酸ロピバカインが最も遅かった。このpHにおいては、いずれの局所麻酔薬も99.99%以上電離しているため、このような透過速度の差は局所麻酔薬の立体構造、特に疎水基のサイズの差によってアイスバーグ形成に関与する水和水分子の数が変化し、それに伴って薬物イオンに対する水和分子の結合エネルギーに差が生じるためであると考えられた。
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[Publications] Shibaji T.,Yasuhara Y.Oda N.,Umino M: "Drug transportation by alternating electric field." Medical & Biological Engineering & Computing. Vol.35・I. 40 (1997)
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[Publications] 芝地貴夫,安原愛明,海野雅浩: "変動電場による薬物浸透" 日本歯科麻酔学会雑誌. 25・4. 617 (1997)
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[Publications] 出口繁,芝地貴夫,安原愛明,海野雅浩: "HPLCおよびマイクロダイアリシスによる局所麻酔薬の微量測定法の確立-変動電場による薬物浸透への応用-" 日本歯科麻酔学会雑誌. 26・4. 613 (1998)
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[Publications] 芝地貴夫,出口繁,安原愛明,海野雅浩: "変動電場下の局所麻酔薬の電気化学的挙動" 日本歯科麻酔学会雑誌. 26・4. 614 (1998)