1997 Fiscal Year Annual Research Report
震災防災からみた木造家屋構造部材における生物劣化の実態解明と防止策に関する研究
Project/Area Number |
08408001
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
土井 正 大阪市立大学, 生活科学部, 講師 (70137181)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮野 道雄 大阪市立大学, 生活科学部, 教授 (00183640)
|
Keywords | 木造住宅 / 耐震性 / 耐久性 / 施工実態 / 非破壊検査 / 熱画像 / 超音波診断 / 住まい方 |
Research Abstract |
本研究は既存木造家屋における蟻害や腐朽の実態を明らかにし,家屋の維持管理や生活行為に伴う水分供給など生活科学的側面からその発生要因と防止策の検討を行い,木造住宅における長期の耐震・耐風性能の保持に寄与することを目的としている。本年度研究実績の概要を以下に述べる。 (1)昨年度のアンケート調査に協力を得た住戸を中心に維持管理、耐震性に対する住まい手の意識についてのヒアリングと家屋の耐震診断を実施した。耐震性、耐久性に対する意識構造には地域要因以外に、住まい手個人の意識による差異が大きいことが明らかになった。また、耐震性能として、概ね現行建築基準法の壁量は充足しているが、偏心率による検討では問題が多いことが明らかになった。 (2)既存木造家屋における蟻害・腐朽発生率調査を超音波探査および精密熱画像により、建物外部から非破壊的調査を実施した。並行して、木造家屋床下等の温湿度調査を継続して行った。新築直後のベタ基礎住宅ではは床下の相対湿度が95%以上となって、竣功時期や防蟻・防腐方法によっては劣化が促進されることが明らかになった。 (3)劣化による断面欠損のある土台および柱脚部のモデルによる強度試験を行い、断面欠損率と応力の検討から、柱や土台の欠損より筋違い端部の欠損が耐震壁の強度を低下させる傾向が強いことが明らかになった。近年筋違いには耐久性に劣る米ツガが多く用いられ、さらに筋違い端部の防蟻・防腐措置もほとんどされないことが施工実態として明らかになっていることから、耐震性能の長期維持にとって危険側要因といえる。 (4)解体木造家屋から生物劣化を受けた部材を回収し、劣化部位の系統的分類および強度試験結果に基づき、低廉な劣化および残存強度判定機の開発のための評価基準の予備的な検討を行った。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 土井 正: "木造住宅の耐久性に関する住まい手の意識について" 日本木材保存協会年次大会研究発表要旨集. 13. 49-54 (1997)
-
[Publications] 土井 正: "木造住宅の耐久性に関する住まい手の意識構造について" 日本建築学会大会学術講演梗概集(関東). F-1. 943-944 (1997)
-
[Publications] 北本 裕之: "耐震性に関する木造施工者の意識とその対応-補強金物について-" 日本建築学会大会学術講演梗概集(関東). F-1. 945-946 (1997)