1998 Fiscal Year Annual Research Report
地震防災からみた木造家屋構造部材における生物劣化の実態解明と防止策に関する研究
Project/Area Number |
08408001
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
土井 正 大阪市立大学, 生活科学部, 助教授 (70137181)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮野 道雄 大阪市立大学, 生活科学部, 教授 (00183640)
|
Keywords | 木造住宅 / 耐震性 / 耐久性 / 蟻害 / 腐朽 / 床下湿度 / べた基礎 / 床下空間 |
Research Abstract |
本研究は既存木造家屋における蟻害や腐朽の実態を明らかにし,家屋の維持管理や生活行為に伴う水分供給など生活科学的側面からその発生要因と防止策の検討を行い,木造住宅における長期の耐震・耐風性能の保持に寄与することを目的としている。本年度研究実績の概要を以下に述べる。 (1) 既存木造家屋における蟻害・腐朽発生率調査を継続して行った。その結果,防湿コンクリート床スラブで基礎パッキンのような全周換気の場合,床下湿度はほぼ外気に近似しており,腐朽や蟻害発生の可能性が低いと判断された。新築時のコンクリートスラブからの水分供給もこの換気方式の場合は1年未満でほぼ外気レベルとなることがわかった。しかしながら,土間床でかつ床下換気口の開口面積が法定未満の場合は下部構造部材の平衡含水率が繊維飽和点に近くなる高湿度に維持されることが観測された。調湿材も適正な設置方法をとれば構造材の乾燥維持による防蟻効果が期待されることが示唆された。 (2) 木材防腐剤および防蟻材の接地屋外暴露試験の対照試験片を用いた,接合部モデルの破壊試験を行った。その結果,ほぼ,腐朽材の場合は重量減少率に比例して釘の引き抜き抵抗が低下するが,蟻害による断面欠損のみの場合は,材の年輪密度が高い場合には残存晩材率が高くなるため引き抜き抵抗の低下は小さくなることが知られた。 (3) 住まい手の脱ケミカルの傾向はさらに強まっているが,防腐,防蟻処理剤を使用しないで乾燥工法で生物劣化に対処する場合は,新築時の水分の排除が短期間に行われるように十分な換気性能を維持することが必要である。これを怠った場合は,竣工時期によっては早期に食害される可能性が高くなることが示唆された。
|