1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08408002
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
成田 孝三 京都大学, 文学研究科, 教授 (10047037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 昌久 京都大学, 経済研究所, 教授 (90281112)
金坂 清則 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (00092825)
足利 健亮 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授
石川 義孝 京都大学, 文学研究科, 助教授 (30115787)
金田 章裕 京都大学, 文学研究科, 教授 (60093233)
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Keywords | 近畿圏 / 古代の畿内 / 古代の首都システム / 中世畿内の構造 / 近代の近畿 / 日常生活圏 / 行政領域 |
Research Abstract |
本研究の目的は「地域システムの動態に関する比較・統合研究」であり、地理学諸分野の分析や経済学的分析を統合するために、共通のフィールドを近畿圏と定めてその動態の把握に努め、以下の知見を得た。 l 古代国土システムの構成要素としての近畿圏は、従来説の大化の畿内と天武の畿内の間に、近江を中心とする天智の畿内が存在し、それは三関の範囲に合致する軍事的性格を帯びており、中国の唐制に類似する。 2 古代畿内の首都は孤立した一点ではなく、複数の首都ないしはそれに準ずる機能地点の関係という広がりとして存在した。それは現代の首都移転をめぐる拡都論にも通じる実態である。 3 中世期末畿内の構造変化の一端を、本願寺教団の教化の進展を通してみると、それは近江に始まり、京都・大阪・奈良・三重・北陸に広がり、最後に兵庫・和歌山に伸びて現代の近畿圏が覆われた。近江が中心となった理由はその生産力と交通の拠点性であり、それは信長や秀吉の戦略とも一致する。 4 五畿七道の区分を踏襲してきた幕藩体制から近代国家体制への転換に伴って、府県を単位とする地方区分が確立して来たが、近畿の範囲は6府県を核としつつ、福井と三重が出入りするという変転があり、この問題は現代にもつながる。すなわち、行政機関によってはその管轄範囲に福井や三重が加わるのである。 5 現代の大阪圏は初め西日本に広がっていたが、次第に縮小して上記の近畿圏に近付いている。また近畿圏の構成単位である各日常生活圏の完結性が弱まり、大阪と京都を中心とする圏域に統合されつつある。それに伴って各種行政領域と日常生活圏との整合性が崩れ、その〈地域〉としての有意性が損なわれるおそれがでてきた。またバブル崩壊後、中心部の都市地域と周辺部の農村地域との格差が拡大しつつある。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 石川 義孝: "センサス人口移動データの年次間比較のための補正方法とその適用" 人口学研究. 23. 25-40 (1998)
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[Publications] Y.Ishikawa & Fielding,A.J.: "Explaining the recent migration trends of the Tokyo metropolitan area" Environment and Planning A. 30-10. 1797-1814 (1998)
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[Publications] Y.Ishikawa: "Contribution of the de mographic factor to migration turn arounds in Japan,Sweden and Canada" International Journal of Population Geography. 5-1. 1-17 (1999)
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[Publications] 金坂 清則: "R.H.ブラントン編の日本図Nippon[Japan]をめぐって" 地図. 36-3. 12-31 (1998)
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[Publications] 金坂 清則: "ブラントン日本図Nippon[Japan]の表現内容とベースマップに関する考察" 地図. 36-4. 24-40 (1998)
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[Publications] 金坂 清則: "都市誌素描-大阪市中央区-" 地域と環境. 2. (1999)
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[Publications] M.Fujita & T.Mori: "On the Dynamics of Frontier Economics : Endogenuouse growth or the self-organization of a dissipative system?" Annals of Regional Science. 32. 1-24 (1998)
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[Publications] M.Fujita,P.Kingmam and T.Mori: "On the Evolution of Hievarchical Urban Systems" Europian Economics Review. 43. 209-251 (1999)
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[Publications] 成田 孝三: "高齢化は大都市衰退を加速させるか" TOMORROW. 13-2. 10-19 (1998)
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[Publications] 足利 健亮: "景観から歴史を読む-地図を解く楽しみ-" 日本放送出版協会, 314 (1998)
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[Publications] 金田 章裕: "古代荘園図と景観" 東京大学出版会, 369 (1998)
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[Publications] M.Fujita: "The Spatial Economy : Cities,Regions and International Trade" MIT Press, 356 (1999)
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[Publications] 成田 孝三 編著: "大都市圏研究-多様なアプローチ-(上)(下)" 大明堂, 820 (1999)