1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08408004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米倉 伸之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30011563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
茅根 創 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60192548)
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Keywords | サンゴ礁 / 物質循環 / 石垣島 / 琉球列島 |
Research Abstract |
1。石垣島川平サンゴ礁の掘削試料の放射生炭素年代測定を行った。その結果、礁嶺は約5000年前には平均海下3メートルにあり、それ以降上方に成長し、4000年前には現在の礁嶺の頂面(ほぼ現在の低潮位)に達し、それ以降は、海側に成長を続けていることが明かになった。一方、現在の礁池は平均海面下2〜1メートルの深度を示し、礁池での掘削結果によれば、平均海面下約6メートルから4メートルにかけての堆積層中の有孔虫化石の年代は、3500年前から3000年前を示し、礁嶺の形成後に礁池内に堆積層が堆積していることを示す。また上部の2メートルの年代は450年とかなり若く、平均海面下4メートルより深い堆積層との間に年代の間隙がある。このことは、礁池内の堆積層上部は暴浪などにより侵食され、そのうえに新しい堆積層が堆積するようなプロセスが起きていることを示唆する。 2。琉球列島中部・南部の島々の陸棚(島棚)地形について、海上保安庁水路部の音響測深・音波探査記録を解析し、さらに喜界島周辺海域において音響測深を実施した。その結果、サンゴ礁の礁斜面基部には様々の幅の平坦面が発達し、礁斜面とその海側の平坦面との間の傾斜変換点の平均深度は、多くの島で水深45〜55メートルにある。完新世の隆起運動が知られている喜界島では、その傾斜変換点の平均水深は約34メートルで、他の島々より明かに浅い。礁斜面基部の傾斜変換点より上部はピナクルや縁溝-縁脚系が分布し、現成のサンゴ礁地形(礁嶺や礁池)と一連の地形と推定される。一方、礁斜面基部より海側は様々な幅の平坦面が分布し、その海側には急斜面と陸棚外縁平坦面が分布し、これらの地形にはサンゴ礁起源の地形はほとんど認められない。喜界島における陸上掘削の結果によれば、現成サンゴ礁の年代は1万年前より若く、現成サンゴ礁石灰岩の基底を海側に延長すると、礁斜面基部の傾斜変換点およびその海側の平坦面に連続する。このことから、琉球列島の現成サンゴ礁は約1万1千年前以降の海面上昇期に形成されたこと、さらに1万1千年前以前にはサンゴ礁が形成しうる海水温などの環境条件が琉球列島には整っていなかったことが推定される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yamano,H.et al: "Circulation on a fringing reef in monoon area : Kabira Reef,Ishigaki Island,Sonthwest Japan." Coral Reefs. (印刷中). (1998)
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[Publications] Gaffuso,J.P and Kayanne.H.: "Carbon and Carbonate cycling in coral reefs" Proc.8th Int.Coral Reef Sym.I. 935-938 (1997)
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[Publications] 米倉伸之ほか: "「最終氷期の終焉と縄文文化の成立・展開」の趣旨" 第四紀研究. 36・9. 283-286 (1997)
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[Publications] 貝塚爽平 編: "世界の地形" 東京大学出版会, 364 (1997)