1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08408021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター (20013857)
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Keywords | 低線量放射線 / 適応応答 / 細胞内情報伝達 / Cキナーゼ / p38MAPキナーゼ / 逆線量率効果 / 増殖刺激効果 / アポトーシス |
Research Abstract |
マウス培養細胞あるいは遺伝子改変マウスから樹立した培養細胞を用いて低線量X線に対する細胞応答を調べ、以下のことが明らかとなった。(1)低線量X線を前照射された細胞はその後の放射線に対して適応応答を示し、染色体異常、突然変異、致死耐性となるが発がんに対しては寧ろ高感受性となる。(2)適応応答の至適線量域0.1Gy以下であり、それ以上の強度の放射線は適応応答を誘導しないばかりでなく、適応応答の消去に働く。(3)適応応答にはCキナーゼとp38MAPキナーゼの活性が関係しており、これらのキナーゼ活性を阻害することによって適応応答も阻害される。12種類あるCキナーゼのうち低線量X線で活性化されるCキナーゼ分子種はα型である。ここに適応応答の情報伝達としてCキナーゼ→p38MAPキナーゼという新しい情報伝達路が明らかとなった。(4)p53遺伝子欠損マウスの細胞では適応応答が誘導されないが、SCIDマウスの細胞は適応応答を示す。このことは適応応答に組換え型のDNA修復機構が関係していることを示唆する。(5)低線量X線照射は細胞増殖も誘導し、細胞は一過性に増殖すると再びもとの細胞密度に復帰する。この細胞密度の復帰の過程でアポトーシスが観察され、細胞集団としての組織制御が働くことを示唆する(6)低線量放射線に対する細胞の応答特性を基に低線量率照射による突然変異および発がんの逆線量率効果に関する新しい説明理論を提唱した。
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[Publications] Nakayama,T et al.: "Fracture healing is a process independent of p53 function." In Vivo. 10. 553-558 (1996)
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[Publications] Kato,M.V.et al.: "Loss of heterozygosity on chromosome 17 and mutation of the p53 gene in retinoblastoma." Cancer Letters. 106. 75-82 (1996)
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[Publications] Yamaguchi,T.et al.: "Loss of heterozygosity and tumor suppressor gene mutations in chondrosarcomas." Anticancer Research. 16. 2009-2016 (1996)
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[Publications] Sasaki,M.S.: "Radioadaptive response : an implication for the biological consequences of low dose-rate exposure to radiations." Mutation Research. 358. 207-213 (1996)
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[Publications] Kato,M.V.et al.: "Genomic imprinting of the human serotonine-receptor(HTR2)gene involved in development of retinoblastoma" American Journal of Human Genetics. 59. 1084-1090 (1996)