1998 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の器官形成における細胞間シグナル伝達機構の分子解析
Project/Area Number |
08408031
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡田 清孝 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50101093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 澄衛 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50260039)
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Keywords | 植物器官形成 / 突然変異体 / 細胞分化 / 細胞間シグナル伝達 / シロイヌナズナ / 根毛形成 / 表裏の軸決定 / 転写調節因子 |
Research Abstract |
本基盤研究は、シロイヌナズナを用いて植物体の細胞間シグナル伝達機構を分子レベルであきらかにし、器官形成における役割を解明することを目的としている。今年度の主な成果は、以下の通りである。(1)我々がクローニングしたCAPRICE(CPC)遺伝子は、GL2遺伝子の発現を抑制することによって根毛の形成を促進する。CPCタンパク質は、mybドメインを持つが転写活性化ドメインを持たない。in situ ハイブリダイゼーションやトランスジェニック植物の解析から、CPC遺伝子は根毛形成細胞ではほとんど発現していないにもかかわらず、この細胞の中でGL2遺伝子の発現を抑制していることがわかった。CPC遺伝子は隣接する根毛非形成細胞で強く発現しているので、非形成細胞から形成細胞にCPC遺伝子によるシグナルが伝達されていると考えられる。CPCタンパク質はRタンパク質のN末端と結合することがわかったので、根毛非形成細胞においては、CPC-Rタンパク質複合体がGL2遺伝子の発現を誘導していると考えられる(投稿中)。(2)シロイヌナズナのFILAMENTOUSFLOWER(FIL)遺伝子は花芽分裂組織の形成と成長に必要である。FIL遺伝子をクローニングしたところ、FILタンパク質は、C末端側にHMGタンパク質とホモロジーを持つドメイン、N末端側にzinc-finger様のドメインを持つことがわかった。in situハイブリダイゼーションの結果は予想に反し、分裂組織における発現はみられず、葉や花器官の原基で発現がみられた。原基が成長すると器官の外側の組織で発現が続く。これらの結果は、器官原基で発現する遺伝子がはるかに離れた分裂組織の細胞の機能を調節していることを示している。また、この遺伝子は葉の裏表を決定する機能を持つことがわかった(Sawa et al.Genes & Development印刷中)。
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[Publications] K.Okada: "Regulatory Systems of Root Patterning" J.Plant Res.111. 315-322 (1998)
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[Publications] S.Sawa: "Molecular characterization of a meristem and organ identity gene of Arabidopsis,FILAMENTOUS FLOWER,encoding a zinc finger and a HMG-related domains" GENES & DEVELOPMENT. (印刷中). (1999)
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[Publications] G.Jurgens: "Grouth and Development,Early pieces of the puzzle: embryo,friends and family." Current Opinion in Plant Biology. 2. 11-12 (1999)
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[Publications] L.Dolan: "Signalling in cell type specification." Seminars in CELL & DEVELOPMENTAL BIOLOGY. (印刷中). (1999)
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[Publications] S.Sawa: "FILAMENTOUS FLOWER controls formation and development of inflorescence and floral meristem of Arabidopsis thaliana." Plant Cell. 11. 69-86 (1999)
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[Publications] A.Tanaka: "Chlorophyll a oxygenase(CAO)is involved in chlorophyll b formation from chlorophyll a." Proc.Nalt.Acad,Sci.95. 12719-12723 (1998)