1997 Fiscal Year Annual Research Report
水晶体を例とした多段階分化過程の高次制御機構の研究
Project/Area Number |
08408032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 寿人 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (70127083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒲池 雄介 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (90263334)
東 雄二郎 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (30181069)
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Keywords | クリスタリン / SOX / Pax6 / 分化誘導 |
Research Abstract |
ニワトリ胚の水晶体文化において最も初期に発現される特異的蛋白質であるδ-クリスタリン遺伝子の活性化機構を研究した。δ-クリスタリン遺伝子は第3イントロンにあるエンハンサーによって制御されており、エンハンサーの水晶体特異性は、そのDC5領域に結合する2つの転写制御因子δEF2とδEF3の作用によって与えられること、また、δEF2は類似の因子群であり、その1つがSOX2であることも明かにしていた。水晶体のcDNAからSOX2と類似の因子をコードするものをクローニングし、他のδEF2成分がSOX1、SOX3であることを明かにした。 Sox1,2,3遺伝子の水晶体誘導時の発現をin situ hybridizationによって詳しく解析した。眼胞が外胚葉に接するSt.10-11では、これらのSoxはまだ発現されていないが、4時間後のSt.12では、眼胞と接する外胚葉でSox2、Sox3の発現が活性化される。このSox2/3の発現は、眼胞からの作用によるものである。St.13では、そのSox発現領域がそのまま水晶体プラコードに変化し、δ-クリスタリンを発現するようになることが明かになった。Sox1は、少し遅れて、St.13以降に発現される。 眼胞が外胚葉に接する以前から、頭部外胚葉ではPax6が広く発現され、外胚葉の眼胞への反応性を与えている。従って、あらかじめPax6を発現していた頭部外胚葉のなかに、Sox2/3が誘導されたことになる。Pax6とSoxがともに発現されることによって、水晶体分化の条件が与えられている可能性がある。
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[Publications] Higashi,Y.et al.: "Impairment of Tcell developmentin δEF1 mutant mice." Journal of Experimental Medicine. 185. 1467-1479 (1997)
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[Publications] Sekido,R.et al.: "Two mechanisms in the action of repressor δEF1." Genes to Cells. 2. 印刷中 (1997)
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[Publications] Takagi,T.et al.: "δEF1 is required for normal skeleton Patterning." Development. 125. 21-32 (1998)