1999 Fiscal Year Annual Research Report
マルチディテクタ無侵襲組織反射光オキシメータシステムの開発研究
Project/Area Number |
08408038
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高谷 節雄 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40154786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野川 雅道 山形大学, 工学部, 助手 (40292445)
宮本 嘉巳 山形大学, 工学部, 教授 (30001689)
坂本 徹 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (10101875)
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Keywords | 反射光パルスオキシメータ / 組織反射光オキシメータ / ヘモグロビン酸素飽和度 / 光散乱 / 光吸収 / 組織モデル |
Research Abstract |
平成11年度は、次の2つの分野で研究を進めた。(1)反射光パルスオキシメータの臨床評価と(2)2層組織モデルでの組織ヘモグロビン酸素飽和度測定に関する問題点の検討。 (1)反射光パルスオキシメータの臨床評価では、先ず試作開発した新しいセンサの較正曲線を健常者6名において求めた。新しく開発したセンサは、測定波長間における光の組織内への浸透距離のばらつきを少なくする目的で730・880nmの発光ダイオードを使用し、光源・光検出器間の距離はバックグラウンドに対する脈拍成分の比率を大きくする目的で7mmとした。実験では、局部麻酔下、トウコツ動脈にカテーテルを挿入し動脈血を採取し、ヘモグロビン量及び酸素飽和度を計測し、前頭部から得られた反射光パルスオキシメータから得られた信号との相関を求めた。730・880nmセンサが従来の660・910nmセンサに比べて優れた精度を示した。730/880の誤差は4.2%で、660/910の誤差は6.3%であった。得られた較正曲線を基に、6名の患者で長期モニタリングを試みた結果、従来のセンサに比較して、730・880nmセンサは長期間安定した性能を示した。 (2)組織内ヘモグロビン酸素飽和度測定に関する問題点の検討では、組織層による不均一性をシミュレーションするために、血液と血液を含まないハム層の2層モデルを作成し、血液層のヘモグロビン量および酸素飽和度を変化させた時の反射光量の変化をモデル表面から検出し、2波長の比との相関関係を求め、血液層のみの結果と比較検討した。この研究では、光源と光検出器との距離の影響を検討するためマルチアレーホトダイオードセンサを使用し、光源と光検出器との距離を12.5mmから52.5mmと変化させ、また血液を含まない表面層の厚さも変化させた時の反射光を測定し、血液層内のヘモグロビン酸素飽和度がモデル表面から測定可能かどうか実験的に検討した。結果、表面層の厚さが増加するに従って、遠距離の検出器では血液層での変化に対する感受性が増加する傾向を示した。深部からの光を検出することを目的とする場合、光源から遠距離に位置した検出器を使用することにより、より敏感な計測が可能になることが示唆された。また、マルチメディテクタを使用し、信号処理を行うことにより、組織表面から任意の深さでの酸素情報を入手可能なことが示唆された。
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[Publications] kaiwa T, Takatani S, et al: "Measurement of blood hematocrit inside the magnetically suspended centrifugal pump using an optical technique; Application to assessment of pump flow"Artificial Organs. 23・6. 490-495 (1999)
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[Publications] 海和健史、高谷節雄 他: "磁気浮上型遠心ポンプ内における工学的手法による血液のヘマトクリット測定"人工臓器. 28・1. 173-177 (1999)
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[Publications] 海和健史、高谷節雄 他: "血中酸素飽和度及びヘマトクリット測定用ハイブリッド型反射光センサの開発"医用電子と生体工学. 37 特別号. 274 (1999)
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[Publications] 野川雅道、高谷節雄 他: "臨床応用を目指した反射型パルスオキシメトリの多層モデルの影響"医用電子と生体工学. 37 特別号. 199 (1999)
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[Publications] 富田規裕、高谷節雄 他: "反射型光電子脈波による循環動態計測"医用電子と生体工学. 37 特別号. 74 (1999)