1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞のランダムな運動とその制御による個体保持機能の研究
Project/Area Number |
08409002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沢田 康次 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80028133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 靖男 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (50025417)
早川 美徳 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (20218556)
佐野 雅己 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (40150263)
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Keywords | 細胞選別 / 解離細胞集合体 / ヒドラ / 集団運動 / MRI |
Research Abstract |
多種類の細胞からなる生体を個々の細胞に解離して無秩序集合体を作るとその状態から秩序化が起こり元の個体を再生する場合がある。本研究では主として外胚葉性上皮細胞(EC)と内胚葉性上皮細胞(ED)の2種の細胞からなる腔腸動物ヒドラを用いてその再生の初期過程に起きる細胞選別のダイナミクスを直接観測と核磁気共鳴方法(MRI)を用いて研究し新しい発見をした。次にその成果の概要を述べる。 1)解離細胞集合体をスライドガラス上に置き50μのスペーサーをはさんでカバーガラスで蔽い細胞選別過程における700個の細胞の運動の軌跡を追跡した。この時、EDにクロレラが共生するhydra virisissimaを用いることによりEDとECのコントラストが保証される事実を用いた。この結果、細胞運動は、differential adhesion mech anismによるランダム運動だけでなく、流体力学的なマクロな集団運動も混在していることを始めて観測した。このことは細胞選別過程に新しい解釈を必要とすることを意味している。 2)細胞餞別過程の顕微鏡による直接観測のためには平面上に細胞群を集合させねばならず、自然の再生系とは異なることが懸念される。将来は、3次元集合体の切片を切ることにより細胞の餞別過程の観察を行ったが、この方法は同じ試料についての発展過程を追えないという欠点があた。現在、MRI法が3次元観察を可能にする有力な方法である。MRI法は、2種類の細胞が異なる化学シフトを持つ場合はその区別が容易であるが、本研究の場合、それがなく拡散係数の違いを利用することになった。得られたMRIイメージングを解析することにより、始めて3次元細胞集合体における細胞選別の過程を定量的に追跡することができた。
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