1997 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚的・視覚的対象および視聴覚複合対象の短期・長期記憶における諸性の統合過程
Project/Area Number |
08451015
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
御領 謙 千葉大学, 文学部, 教授 (70008960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江草 浩幸 国際医療福祉大学, 保健学部, 助教授 (90168774)
木村 英司 千葉大学, 文学部, 助手 (80214865)
須藤 昇 千葉大学, 文学部, 助教授 (40154611)
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Keywords | 認識 / プライミング / 特徴統合 / 同異判断 / 反応時間 / 音楽認知 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、色と大きさと形を属性とする線画刺激の短期記憶実験を行うとともに、音刺激(楽音)を用いた和音のプライミング実験をも行った。 線画刺激の短期記憶 実験本研究では、線画刺激の大きさは、刺激描画範囲の大小によって定義される。しかし、線画は閉図形であるため、大きさが面積に基づいて評価される可能性があった。そこで、刺激の作成方法を変え、数種類の四辺形を左右に2つ結合した行ポリゴンを上下に6から8個配列した刺激を作成した。この刺激により、面積を一定に保ったまま形だけを変えることができる。このような刺激を用いて、継時的に提示される2刺激間で、予め指定された特徴の同異判断実験を行った。その結果、色または大きさが指定された場合よりも、形が指定された場合には反応時間が長かった。さらに、形が指定された場合、無関連特徴である色、大きさ、あるいは両者の相違による影響が認められた。例えば、形の変化がない条件での正答率は大きさの変化率が増すとともに低下する傾向にあった。このことは、刺激が形や大きさといった特徴に分離して記憶に保持されているのではないことを意味する。 和音のプライミング実験 例えば、ドミソの和音をプライムとして提示し、次に別の和音をターゲットとして提示する。このとき、ターゲット和音が和音として協和しているか否かを判断する時間を測定した。2和音が同一音階に属する・属さない、および2和音の音色が一致・不一致の2要因似ついて、それぞれの効果を検討した。その結果、音色の効果はなく、音階の効果のみが認められた。また、この効果には披験者の音楽経験は無関連であった。この結果は、第1和音によってその属する音階が活性化することにより、その音階に属する和音の活性化が高まる、という考え方を指示する。また、音色の効果がないことから、音色は音階の認知とは独立な刺激特徴であることが示唆された。
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