1998 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚的・視覚的対象および視聴覚複合対象の短期・長期記憶における諸属性の統合過程
Project/Area Number |
08451015
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
御領 謙 千葉大学, 文学部, 教授 (70008960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江草 浩幸 国際医療福祉大学, 保険学部, 助教授 (90168774)
木村 英司 千葉大学, 文学部, 助手 (80214865)
須藤 昇 千葉大学, 文学部, 助教授 (40154611)
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Keywords | 再認 / プライミング / 特徴統合 / 音楽認知 / 反応時間 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であり、これまでに行った実験結果を再検討し、いくつかの補足的な実験を行い、本課題についての総括を行った。 プロジェクト1 視覚的複合対象の短期記憶実験 このプロジェクトでは、ランダムに生成された色、形、大きさを組み合わせた線画刺激を記銘させ、後に検査刺激を提示して、予め指定した関連特徴の変化の有無を判断させる実験を行った。このとき、記銘刺激と検査刺激間で、指定特徴の変化だけではなく、無関連な特徴も変化する場合、判断にいかなる影響が及ぶかを検討した。実験の結果、形が関連属性の場合、色あるいは大きさの変化によって判断時間が長引くが、色あるいは大きさが関連属性の場合は、そのような現象は生じないことが明らかにされた。 プロジェクト2 聴覚的複合対象の短期記憶実験 このプロジェクトでは、第1に、和音の構成要素である単音を提示し、検査和音の調和判断が促進されるか否かを検討するプライミング実験を行った。その結果、プライミングの効果は、プライム音が和音の基音である場合にもっとも著しく、第2音、第3音となるとともに低減することが明らかになった。第2に、音高と音色からなる単音を記銘させ、直後に音高、音色、あるいは両方を変化させた単音を提示して、指定された特徴の変化があったか否かを検出させた。その結果、楽器演奏の未経験者は音高変化の検出時に、音色のみが変化すると、音色ではなく音高が変化したと判断する傾向が強いことが明らかにされた。 プロジェクト3 視聴覚複合対象の認知実験 視聴覚複合対象として、本研究では漢字を用いた。このプロジェクトでは、漢字に上下、左右の反転などの視覚的な変換を施し、変換された漢字を提示してそれらの読みの時間を測定する実験を行った。その結果、上下反転と左右反転それぞれの読字時間によって、上下左右反転の場合の読字時間が予測可能であると考えられた。
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[Publications] 御領 謙: "逆転視野への適応過程(2)-知覚・運動協応過程と高次認識過程の相互作用-" 千葉大学人文研究. 25号. 31-73 (1996)
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[Publications] Hiroyuki Egusa: "The role of color and luminance in stereoscopic depth peroption" International Journal of Psychology. 31・3,4. 415-415 (1996)
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[Publications] Noboru Suto: "Organization and structural change of a set of memory-representations" Interrational Journal of Psychology. 31・3,4. 311-311 (1996)
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[Publications] 下野 孝一: "両眼単一視:融合理論と抑制理論の限界" 心理学評論. 40・4. 414-431 (1997)
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[Publications] 苧阪 直行: "読み-脳と心の情報処理" 朝倉書店, 280 (1998)